臨床検査 1巻6号 (1957年9月)

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 カール・ツアイスの最新型顕微鏡であり,(a)光源,(b)顕微鏡,(c)写真装置,(d)光量測定装置等が一緒に組立てられてある。

 (a)三種の光源が同時に使用されることも出来,調節可能である。即ち白熱電球,螢光顕微鏡としての水銀燈或は他の巣色光光源,カラー写真等の為の自動電気式カーボン進行装置付ボーゲンランプ。

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 観察用光源として,6V5Aのオスラム・フイラメント・ランプを内蔵して居り,第一面を特殊処理した非球面レンズとベレーク式コンデンサーと相俟つてムラのない明るい照明が得られる。

 焦点調節機構の粗動はラツクピニオン式で普通のものと変らないが,微動はライツ独特の二重ボール。ベアリング式を採用して居り,滑めらかに且つ精確に焦点調節を行うことが出来る。

高級技術講義

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I.緒言

 LingとGerardが1949年に所謂超微小電極を用いて細胞内から活動電位を誘導して以来,生理学部門では急速に且広範囲に本法の普及を見た。又これが最近に到つて臨床部門でも応用されようとする気運にある事は喜ばしい事である。本法を実施するに当つては多少の熟練と電気的知識とを必要とする。電極及び前置増幅器の電気的理論に関しては勝木1)2)及び古河・後藤3)の解説があり,冨田4)も最近これらについて書いたから,それらを参考にして頂く事にして,本稿では超微小電極の作り方の実際及びその取扱い方を少し詳しく書いて見たい。何事でも始めて試みる時にはつまらぬ事に時間を浪費するものであるから,著者らが日常の経験から所謂コツといつたものについて書く事は無駄な事ではないであろう。

 超微小電極法は,細いガラス毛細管電極で細胞の形質膜を穿刺し,細胞内部の電位を誘導しようとするものであるから尖端が充分に細く,0.5μ以下なるを要する.もしそれ以上の太さであると刺入が困難になるし,又たとえ刺入出来たとしても膜を損傷してしまつて,充分に安定な電位を誘導する事が出来ない。その上又尖端が太いと電極内部に充填されたKCI溶液は細胞内部に拡散して,そのイオン組成を変化させてしまう懼れがある。であるから電極製作に当つては細心の注意が必要である。

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 生体のあらゆる現象,たとえば成長,同化,異化のすべてが酵素の触媒反応によつてはじめて円滑におこなわれていることは,いまさら多言を要しない。化学量論的な反応(Stoichiometric)と対比して考えられるわけである。

 臨床検査の目的で酵素がはじめてとりあげられたのは,ヂアスターゼが最初と思う。Wohlge-muth (1908)の方法といわれて急性膵炎の診断に今日でも欠くことのできない検査である。このほかには胃液のペプシン,膵液のリパーゼなどがそれぞれの分泌機能を知るために検査されてきたにすぎなかつたが,いずれも細胞外に分泌される酵素であることに気づかれることと思う。しかし今日の酵素化学が着々と威果をあげつつあるものは,細胞構成因子としての酵素である。大きな蛋白分子であるProsthetic groupとCo-factorとからなり,細胞の核,ミトコンドア,ミクロソームあるいは上清部分の主要素をしめる細胞の構造そのものにほかならない。Pasteur (1855)の醗酵の実験から,Buchn.er (1897)がアルコール醗酵に必要な圧搾汁を酵母より取出してZymaseと名づけたのが細胞酵素発見の端緒である。さきほどの細胞外分泌酵素である消化液についてはさらに古い。ヂアスターゼの存在を予測したのがDubrunfant(1830),これを分離したのがPayen,Persoz(1832),ペプシンはSchwann(1836)によつてすでに発見されているのであるから,臨床医学にもやはりこの順序を追つて導入されたとすれば当然うなづけてよい。

すり合せガラス器具 原 一郎
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 すり合せガラス器具は,本来の名称を万国共通摺合硝子器具といい,一般にオールジヨイントと呼ばれている。その特徴は,すべてのガラス器具をすり合せによつて連結し,一つのセツトを組み立てられるように,各部分部分がうまく設計されている。オールジヨイントを用いる第一の利点は,ゴム栓,キルク栓,あるいはゴム管などを必要としないことである。たとえば,蒸溜装置を組んだ場合に,ゴム栓で蒸溜フラスコと精溜塔をまた精溜塔と冷却管をつなぐとき,もし,ベンゼンやクロロホルムのようにゴムを犯すものであると溜出物,ゴムが溶けて出てくるおそれがある。その代りキルク栓を用いると,犯されることはないが,減圧を保つのがむつかしい。このような場合にオールジョイントは威力を発輝するのであつて,真空を保つことも,またいくらかの高圧も保つことが可能である。

 以前からソツクスレー抽出装置(Soxhlet's extractor)にはすり合せが用いられているが,これが全面的に拡張された訳である。第二の利点はゴム栓などに穴をあけたり,その他ガラス管を曲げたりするような手間がかからないことである。時間的には,非常に経済であつて,また人による装置の組み方の上手,下手がなくなつて,誰でも同じものが組み立てられる。それにともなつて,細工をする場合の怪我などなくなつた。第三に装置全体が概してこじんまりと端正にでき上り,内容物もきれいであるから,この点は満点である。しかし,オールジヨイントの欠点は先ず高価につくことである。もつともその利点と差引きすると,これは問題にならないけれども,安くないことは事実である。

文献紹介

テレビジヨン顕微鏡
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 テレビジヨンの顕微鏡分野への応用としては.いろいろな方法が考えられるが,ここに示すフライング・スポツト式の顕徹鏡は生物体を生きたまま観察できるという大きな特色がある。写真は英国ロンドンのCinema-Television社から昨年発売されたばかりの新しい装置である。

 フライング・スポツト式テレビジヨン顕微鏡の原理は,ブラウン管の螢光面から発する光点を光学顕微鏡に逆方向から加えて,標本の微小面積を走査し,その透過光線を二次電子増倍型光電管に受け,標本面上の濃度分布を電圧の時間的変化に置きかえ,この電圧変化をテレビ受豫機に入れて観察する方法である。

グラム染色の陽性と陰性
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 グラム陽性と陰性は,判定のむつかしいもので,志賀潔博士が,ペスト菌はグラム陽性だと言つたばかりに,Yersinに発見者の名誉をとられた事は,あまりにも有名ですし,淋菌検査についても多くの語りぐさがあります。

 Huckerの染色法による時,次の注意を守つて染色します。

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 太田 今日は顕微鏡のお話を主として久保田さん,早水さんに伺いたいということでありましたが,他に樫田先生や皆様においで頂いたほかに,Technicianを代表して鈴木さんにお出頂きました。大変有益なお話を伺えると思います。

 先ず顕微鏡の構造ですね,構造の中で光学系とそれに附随した機械が非常に大事だと思うのですが,我々も実際に光学体系を本当に理解していない所もあると思います。細菌だとか病理のTechnicianが実際に顕微鏡を使う場合もありますし,又手入もしなければならない。或は写真を撮つたりする必要もありますので,顕微鏡の特徴やら性能というものを知つておく必要があると思います。どうでしようか,久保田さんから一つ顕微鏡の一般論のようなことをお話願いましようか。

技術解説

pHの測定法(Ⅱ) 山賀 礼一
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2.緩衝作用と緩衝液

 ある溶液に強酸または強アルカリを加えたとき,その溶液のpHが大きく変化する場合にはその溶液の緩衝作用は弱いといい,pHの変化が少いときには緩衝作用が強いという。溶液の緩衝作用が強いかどうかは,これを取り扱うものが常に注意しなければならない重要な事柄である。

 たとえば,同じpH3の塩酸と醋酸とを比較してみると両者のmol濃度はおのおの0.001および約0.5molである。これらの溶液それぞれ1lを苛性ソーダの0.001mol/lの溶液で中和するためには,前者はこの苛性ソーダ1lを必要とし,後者は500lを必要とする。すなわち同じpH3の溶液であつても,醋酸溶液の方が塩酸溶液よりも強アルカリに対して緩衝作用が500倍も強いことがわかる。

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(1)緒言

 鉛蓄電池は安定した電圧特性を持ち,且つ充放電の繰返しによつて相当長期間の使用に耐える為に直流電源として欠く事の出来ぬものであり,医療,実験等の臨床の分野にも之が使用される事が尠くない。

 しかし鉛蓄電池はその構造上,稀硫酸を使用する為かとかく取扱が敬遠され,又一般の電気機械と異り静的な電気化学機器である為に常に重要な化学変化を行つて居るにも拘らず,その状態が表面に現われる事が少なく取扱が等閑視され又困難視される結果酷使されて充分その性能を発揮する事のなくして寿命を終つて了う事も考えられる。

滅菌法について 高橋 昭三
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 一口に言うと,滅菌法は,あるものに附着して居る,又はあるものに含まれて居る枯草菌の芽胞を目標とし,それを殺す操作である。この操作によつて,すべての細菌,カビを殺す事が出来る。同じような言い方をすると,消毒法は,炭疽菌芽胞を殺す事を目標とした操作であり,これによりすべての病原菌を殺す事が出来る。

 滅菌を行う場合は,目的がいろいろであるが,培地材料の滅菌に際しては,取扱う材料が,血清からガラス器具まであるわけで,しかも後で菌を接種する事を前提とするから,滅菌後に材料の変質を残してはならないわけである。したがつて,方法の選択が行われるわけである。これを中心にして考えてみたいと思う。

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はじめ

 最近病院に於ける臨床病理検査室(中央検査室)の設置が盛んとなり,多少流行的傾向さえ感ぜられる。然しながらその運営の実態に立入ると一般に甚だ低調不活発であつて,これらの臨床病理検査室が本当にその重要性が認識されて設置されたものか,或は病院のアクセサリーとして流行に従つたものかの判断に苦しむ様な場合さえある。此の様な背反的現象の原因は主として臨床病理検査そのものに対する病院管理者(経営者)及び臨床家の理解度が必らずしも充分でないことに起因する様に思われる。即ち臨床病理検査室の規模運営はこれらの人達の考え方次第でどの様にでも決められるからである。臨床病理検査室を真に有効に運営し,病院の医療内容向上に資せしめるためにはこれらの人達によつて正しく認識され理解されなければならない。

 私は手元にある資料(主として国立病院に関するもの)により臨床病理検査室設置運営に関する基礎的問題について考察し,一般の参考に供したい。尚便宜上病院の規模及び種類は,病床500〜800の綜合病院を対象として論をすすめる事にする。

基本情報

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臨床検査
1巻6号 (1957年9月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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