臨床婦人科産科 72巻9号 (2018年9月)

今月の臨床 症例検討会で突っ込まれないための“実践的”婦人科画像の読み方

総論

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●X線被曝がなく組織コントラストに優れるMRIは,婦人科疾患の質的診断や局所進展の評価に威力を発揮する.

●婦人科悪性疾患のリンパ節転移や腹腔内播種,遠隔転移の評価には,広範囲の撮像が可能な造影CTを用いる.

●現行の婦人科腫瘍の取扱い規約ではいずれも画像診断についての記載があり,子宮頸がんでは「腫瘍の進展度合いや腫瘍サイズの評価に用いても構わない」とされている.

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●拡散強調像は,読影時間短縮と読影精度向上の両方に寄与し,婦人科領域の臨床にて活用できる撮影方法である.

●拡散強調像にはT2 shine-through,T2 dark-throughなどのピットフォールがあるため,注意が必要である.

●読影に際して拡散強調像は高いb値の画像だけで判断してはいけない.T2強調像あるいはb=0画像を確認する習慣をもつべきである.

●新しい撮像方法である局所励起diffusionで,従来の拡散強調像より分解能を向上させた画像が得られるようになっている.

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18F-FDGの特徴をよく理解し,子宮・卵巣を含めた生理的集積の存在と,月経周期による影響を考慮する必要がある.

●特に卵巣がんや子宮肉腫の良悪性の鑑別における有用性はまだ証明されていないため,臨床所見や腫瘍マーカー,他の画像検査も含めた総合的な解釈が必要である.

●再発病変の検出や,リンパ節・遠隔転移の検出における有効性は示されているものの,実施可能施設の制約や費用対効果なども考慮する必要がある.

CT画像:RECIST判定はこう行う 髙橋 哲
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●RECISTは臨床試験評価のために単純化,標準化したもので,日常臨床での個々の症例における治療効果判定を目的としたものではない.

●リンパ節は短径15mm以上,その他の腫瘍病変は長径10mm以上のものが測定可能病変である.

●浸潤のある臓器をまんべんなく含み,各臓器2病変まで,最大5病変の径の和で評価する.

●最小値から径和20%以上かつ5mm以上の増加でPD,ベースラインから30%以上の縮小でPRと判定する.

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●筋腫赤色変性の診断にはMRIが有用である.発症後間もなく摘出されるとその割面は赤色だが,長時間経過して摘出されると,その割面はもはや赤色ではない.

●異所性妊娠の多くは卵管であり,異所性の胎囊のMRI所見を理解する必要がある.卵管間質部妊娠は変性筋腫に似ることがあるので注意が必要である.

●付属器腫瘤の捻転では捻じれて浮腫をきたした卵管が軟部影として腫瘤近傍に認められ,捻転側への子宮の変位を伴うことが多い.付属器腫瘤の破裂では緊満感の消失と囊胞壁の肥厚,内容液流出による腹水が認められる.

●PID(pelvic inflammatory disease)の画像所見は卵管肥厚,腹膜炎を示唆する所見,腹水などがみられ,なかでも卵管肥厚は特徴的所見である.進行すると卵管留膿腫,tubo-ovarian abscess(TOA)が生じる.

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●ナボット囊胞と分葉状頸管腺過形成(LEGH)の鑑別について,頸部高位に存在し,MRI画像上,典型的な“コスモスパターン”を呈する場合にはLEGHが疑われる.

●LEGHと高分化型最小偏倚腺癌(MDA)の違いのポイントは,MDAにおける腫瘍の浸潤性進展の存在の有無である.

●子宮頸部における囊胞,腫瘍進展の評価には,T2強調像で頸部にターゲットを絞った薄いスライスの画像を用いる.

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●T2強調像で子宮頸管筋層の低信号が全周性に保たれているⅠB期の所見特異度は高い.

●ⅡB期とⅢB期は,臨床的に決定された進行期と画像所見でしばしば乖離する.

部位別各論 : 子宮体部

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●MRIで筋層浸潤を評価する際,T2強調像,拡散強調像,造影ダイナミック早期相,造影ダイナミック後期相が必要なシークエンスである.

●拡散強調像と造影ダイナミック後期相が最も重視すべきシークエンスであり,筋層浸潤の有無とその深さを評価可能である.

●T2強調像と造影ダイナミック早期相は筋層浸潤の有無の評価に有用だが,ピットフォールを知らずに読影すると不正確な評価の原因となる.

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●肉腫は筋層よりもT2WIで信号が高いことが多く,拡散制限も強い.

●肉腫の特徴である出血(脂肪抑制T1WI高信号,SWI/T2WI著明低信号)や内部壊死(増強不良域)を見逃さないようにする.

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●子宮内膜症は頻度の高い疾患であるため,あらゆる女性において子宮内膜症の存在を考慮しておく必要があり,術前に癒着の有無,部位を評価しておくことは安全に手術を遂行するために重要である.

●画像検査において,子宮内膜症の発生部位を中心とした臓器の固着や引き攣れ,組織の線維化などの所見を探すことで癒着の存在を推測できる.

●すべての癒着を画像診断することは不可能である.産婦人科臨床医として,画像検査のみに頼らず,詳細な病歴聴取と内診・双合診と併せて評価することを常に心がける必要がある.

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●まずは子宮内膜症性囊胞の診断を行う.これは癒着など周囲の所見を含め全体像で捉える.次に隆起性病変の有無を確認する.病変があれば,造影MRIをとり悪性所見の有無を確認する.

●外来での超音波検査を行う時点,またはアレルギー歴などで造影剤を用いることができない場合は,子宮内膜症関連卵巣がんを疑う隆起性病変の形態的特徴(縦長,大きい病変,前壁付着)が,良悪性の鑑別の一助になる可能性がある.

●また,年齢,囊胞径,子宮内膜症の臨床経過,治療歴などから,リスクの高い症例かどうかを総合的に判断し,画像読影の際には放射線科のレポートのみに依存することなく,悪性所見を見逃さないよう,細心の注意を払う.

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●進行卵巣がんの初回治療をPDSとするかNAC+IDSとするかの判断は,肉眼的残存腫瘍を認めないcomplete surgeryの達成可否にかかっている.その判断を画像から行ううえで最も重要なポイントは,「播種の存在」である.

●読影重要ポイントは,造影CTによる上腹部(特に横隔膜)とMRI/T2強調像による骨盤部(特にダグラス窩)の「播種」である.

連載 教訓的症例から学ぶ産婦人科診療のピットフォール

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症例

▶患者

 27歳,初産婦.身長150.0cm,非妊時体重43.7kg.

▶主訴

 汎血球減少により紹介.

▶既往歴

 今回は初回妊娠.妊娠前には特になし.

連載 Estrogen Series・174

Match Day 矢沢 珪二郎
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 米国の医学生は卒業が近づくと,レジデンシーに応募し,将来の修練を希望する病院を選定する.同時に病院としても,病院内で数年間を過ごすレジデントと呼ばれる研修者には,なるべく優秀な卒業生を選考したい.

 この相互的な選考は,卒業生にも病院にも重要なもので,毎年春になると行われ,その日はマッチデイと呼ばれ,研修医希望者は一喜一憂する日である.また,そのプログラムはNational Resident Matching Program(NRMP)と呼ばれる.

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 妊婦血清からのセルフリーDNAを使用する非侵襲的分娩前スクリーニングは,胎児染色体異数性に対するスクリーニング法として有用性が高い可能性がある.多くの検査所は胎児染色体異数性スクリーニング検査としてセルフリーDNAの使用に対し異なる方法を使用しているが,トリソミー18とトリソミー15に対して高い感度と特異度をもっている.

 セルフリーDNAスクリーニングは絨毛採取または羊水穿刺のような診断的検査で得られた正確な結果の代替にはならない.あらゆる染色体異常を確認する能力に限界がある.また,神経管開存症または胎児腹壁破裂のリスクを調べられない.

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▶要約

 帝王切開瘢痕部妊娠(CSP)は子宮破裂や大量出血の原因となり,時に致死的となる重篤な異所性妊娠である.近年の帝王切開率の上昇を反映し報告数も増加しつつある.経腟的に除去を試みると大量出血のリスクがあり,子宮摘出が必要になることも多いとされる.近年,子宮温存目的にメトトレキサート(MTX)を試みる報告も増えてきた.今回われわれは妊娠初期にCSPと診断し,MTXの全身および局所投与を先行したうえで,腹腔鏡観察下に子宮鏡下胎囊除去術を行い,子宮を温存しえた症例を経験したので,文献的考察も加えて報告する.

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基本情報

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臨床婦人科産科
72巻9号 (2018年9月)
電子版ISSN:1882-1294 印刷版ISSN:0386-9865 医学書院

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