看護学雑誌 57巻2号 (1993年2月)

特集 もっと自分を広げよう!

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なぜ,学びたいのか

 今回の特集,「もっと自分を広げよう」というタイトルを見て,何か胸騒ぎのようなものを感じた人.また,「私も何か勉強しなくては」という焦りにも似た気持ちを抱いている人.そういう人は,すぐにでも行動に移したほうがいい.「勉強しよう」と思った瞬間から,あなたは新しい成長に向かって一歩踏み出している.たった一歩でやめてしまうか,それとも,二歩,三歩と前に向かって進んでいくかどうか.それが問題だ.

 だが,どこへ向かって進んでいけばよいのだろうか.それを知るには,なぜ,「もっと自分を広げたい」あるいは「私も何か勉強しなくては」と思うに至ったのかについて,自分の胸に問いかけてみる必要がある.最初はハッキリとした目的が見えておらず,ただ何となく勉強したいという気分のようなものかもしれない.ではなぜ,そういう気分がわき起こってきたのだろうか.

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 看護婦として働きながら,大学で学んでみたいと考えるようになったのは,10年程前のことである.最初は,漠然とした希望であったが,法律を学ぼうと決めた頃から真剣に大学に進むことを考えるようになった.

 しかし,どうすればよいのかが分からない.受験問題集に取り組んでもみたが,なにしろ,高校時代あまり熱心に勉強しなかった私である.通常の入学試験で合格することは,不可能に近かった.

 通信教育の資料を取り寄せ,経験者にも聞いてみたが,やりぬくには相当の根気が必要だと言う.

学ぶことの本当の意味 市川 幾恵
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 他の病院同様,私の勤務している病院でも厳しい看護婦不足が続いており,ここ数年は看護部の抱えている問題のトップにあげられている.このような状況にもかかわらず,最近働きながら学ぶ看護婦が増えてきている.婦長の半数近くが職場以外の場所,大学の2部,放送大学や通信教育などさまざまな場所で生涯学習を受けており,ある程度経験を積んだスタッフナースの中にも,もう1度学ぼうとしている者が増えてきている.

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行き詰まった私の看護

 看護短大を卒業した時から看護大学の話を聞くたびに,「あー,私もいつか行き詰まるかもしれない.大学教育が必要になるんだろうな」とか「編入してみたいな」とぼんやり思っていました.それでも大卒ナースの多い大学病院に就職してからの数年間はそんなことも忘れ,ただひたすら働く日々が続きました.3交代,院内研修に追われて本を読む暇もなし.そんな日常の中で「本当にこれでいいのだろうか?」と常に自信を持てずに,日々学んでいるレジデントをいつも横目で見ていました.

 「何か足りない,何かしなくては」と焦りつつも,仕事に疲れた私は田舎に戻り,小さな民間病院に転職しました.そしてそこの看護婦たちと仕事をして「あっ」と思ったのです.前の病院の看護婦とは明らかに違う.滅菌操作1つをとっても,なぜその必要があるのか理論的に分かっていないのです.それでも彼女たちは「これでいいんだ」と思っているのです.

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 子供たちの心や体の悩みを電話で聞く電話相談員の仕事を始めてから5年.周囲からは,「もう臨床に戻らないの?」とよく聞かれるのですが,私にとっては,電話を通しての子供たちの生の声はベッドサイドとはまた違った“臨床の場”なのです.相手の顔が見えず匿名性が強い分,そこで語られる子供たちの言葉は,心の奥底から絞り出される本音の言葉であり,ストレートな心の痛みなのです.ですから5年働いた今でも,受ける電話の1本1本に緊張して臨むという態度は変わっていません.

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個人の向上は看護部のレベルアップに貢献する

 最近,社会全体の風潮である高学歴志向に伴って,看護界にも看護大学および短大卒業の人が増えてきている.

 筆者が看護の道を選んだ昭和20年代の後半には,看護大学と短大を合わせても全国でせいぜい4〜5校しかなかった.最近になってようやく増えてきて大学が14校,短大も3年課程と2年課程を合わせて73校を数え,今後もさらに増えていく傾向にあるようだ.

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看護界にもっと多様な人を受け入れよう

 岩下 まず導入として,末安さんからこの座談の狙いをお話しいただきたいと思います.

 末安 この2, 3年,看護婦問題が社会的にも取り上げられるようになり,行政の動きも出てきていますが,根底的には看護の仕事の意味づけは何も変わっていないのではないかと思います.また一方では看護婦の「社会性のなさ」を,他の職種の人から指摘され,歯がゆさを感じているわけです.看護職を仕事として見た場合の社会化は,どのように図られるべきなのかということを常日頃から感じてきました.

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はじめに

 日本の新卒看護職の養成体制の量的な面での主力が,設置主体別では国と地方自治体,学校種別では3年課程の看護婦養成所(以下,「高看校」と略称),学生定員規模では30〜50名の養成機関であることは,前稿(本誌1992年12月号)で見たとおりである.この稿は,学生定員(1学年養成定員)の側面から,47都道府県における国や地方自治体の養成体制の問題点を明らかにすることを目的としている.なお,この稿では,教員数と学校数を分析視点に含めなかったのは,それらの視点が設置主体間や学校種別間の比較分析には有効であるが,地域比較分析においてはあまり意味をなさないためである.

 主たる関心の焦点は,養成力の強化が社会的に期待される国および地方自治体による養成体制の地域比較にあり,分析対象とした学校種別は,看護職を養成する3年制短大および高看校である.そうした限定を加えたのは,全国各地から受験生が集まる大学や大都市圏にある一部の3年制短大や高看校を除けば,全国各地に所在する多くの3年制短大と高看校では,学校所在地域,つまり「地元」出身の入学者の割合が高く,卒業生も「地元」の医療機関に就職するケースが多いと考えられるからである.

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大宮共立病院

 お茶会はたまたま総婦長の中村久枝さんと縁のあった高橋宗汎さん(裏千家のお師匠さん)が,ボランティアで講師を引き受けてくれるということで始まった.月1回,ナースステーション前のスペースに畳を敷き釜がしつらえられ,心得のある職員2人(事務,薬剤士)が和服を着用してお手伝いする.BGMには琴の音が流れ…と本格的な茶会の雰囲気だ.

 移動可能な患者さんたちが,各階病棟から交替で参加してくる.座れる人は畳の感触を確かめ,車椅子の人もテーブル席でお菓子を味わい,着物姿を楽しむ.

連載 第一線に飛び出した修士ナースたち

連載 生体のメカニズム・14[循環の生理・4]

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 循環の生理学を3回読んでいただいてお分かりのように,血液を循環することは私たちの体を構成している細胞に酸素や栄養物を運び,細胞より出された二酸化炭素や老廃物を除去し,細胞を取り囲む環境(これを内部環境という)をたえずきれいに保ち続けることのために必要なのです.この血液を全身にくまなく回すための拍動ポンプが心臓なのです.

連載 [インタビュー]第一線に飛び出した修士ナースたち・2

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看護学校でのカルチャーショック

 井部 初めに看護婦になろうとした動機を.

 亀岡 私はもともと看護婦になろうと思っていたわけではありませんでした.数学が好きで,数学者になりたいと思っていたんです.だから,大学に行ってと思っていたんですけど,ちょっと勉強が足らなかったようで…….でも,浪人するという勇気もなくて.たまたまそこに看護学校があったからというのが動機なんです.で,何の知識も持たないままに入学したらカルチャーショック.「よいコミュニケーションのしかた」のようなことを授業でやるんです.それから,何でも手順で教えてくれる.たとえば清拭.お湯の温度は何度で,タオルはどういうふうに絞って,どういうふうに巻きつけて,どっちからどっちに拭いてと教えてくれる.だけど,「どうしてそうするのか」ということは教えない.ベッドメーキングでいえば,頭は三角,足元は四角というのがありますけれど,「何で頭は三角で足は四角なんですか」と聞いたら,答えてくれなかった.とにかくそんなことは聞いちゃいけないんだ.という印象を受けました。それから,授業に興味が持てなくなってしまったような気がします.

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 東京からの新幹線で新大阪駅ホームに入る直前の左手に淀川キリスト教病院の看板が見える.淀川キリスト教病院といえば日本で現在7か所あるホスピスの1つとして有名であるが,実は訪問看護の活動でも実績のある病院だと聞いており,一度訪ねたいと思っていた.「ホスピス」のある病院での訪問看護はどんな内容なのだろうと興味津々で取材をお願いした.

 お会いして説明を受けたのは,林看護部長,梶田副看護部長,石森ホスピス病棟婦長,訪問看護室の高沢婦長代行.ホスピスと訪問看護の関連,今後申請する訪問看護ステーションのねらいなどを伺った.また,ホスピス病棟の見学やホスピスを退院した患者さんの訪問看護に同行させていただいた.

連載 Good コミュニケーションをあなたに・2

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 前号で,コミュニケーションは普通に行なえば,歪みを生じさせる傾向が大であること,したがって,コミュニケーション上手になるには,常に歪みを生じさせないような心配りが大切であると述べた.そのためには,コミュニケーション上手になるための知識,技法を学ぶことが大切である.

 そこで今回は,まずコミュニケーションを持つ時に最も重要な意味を持つ態度について述べる.

連載 日々の看護ケアと生命倫理と・2

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 研修学校在学中,講師から「人間とは」を一言で記すようにと,小さな紙が配られました.私は,すぐに「人間とは,死を考え続けて生きている動物である」と書きました.

連載 私が小児看護に魅かれる理由・2

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 新生児・未熟児病棟で出会った問題のある事例は数多い.その中でも,外表奇形や脳障害などで後遺症を残した子どもの家族への対応には,いつも心を痛めていた.

 私が病棟に配属された時,即座に“異様”とインプットされた2人の赤ちゃんがいた.

連載 思い出すけっち[あの人、あの時、あの言葉]・34

若い人たちに思いを託す 梶 久子
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 一昨年には,「看護の日」が制定され,皇后陛下の行啓を仰ぎ,看護の式典が盛大に挙行され,マスコミおよび一般の人々にも看護婦問題に目をむけて頂くようになりました.看護婦の一人一人が看護の質の向上,社会的評価の確立をはかるためにより一層の努力をしなくてはならないと認識を新たにしたことでしょう.

 さて,私の白衣生活40年を振り返って,「看護の思い出」にしばらく浸ってみることにします.

連載 スウェーデンからこんにちは・番外編

[ブラッケベリィ病院スタッフの日本訪問記]・2

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 私たち一行は,長野を訪問した後,神奈川県,広島県,滋賀県の老人施設や福祉施設を訪問しました.誌面の都合もありますので,今回は全体的な日本の印象を述べましょう.

連載 はみだし留学生のSan Franciscoスクラップブック・10

看護学ってナニ? 小泉 滋子
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 サンフランシスコ生活でストレスがたまってくると,ジャパンタウンに行っては日本のテレビドラマのビデオを借りてきて熱中していました.なんといっても,連続ドラマをコマーシャルをすっとばして,1日で10週分以上も見れちゃうなんて,私にとってはスペースシャトルからの映像以上に「あー科学の進歩した時代に生まれてよかった.おかげでストレス忘れます」って実感するひとときなのでした(この次元の低さが留学生活を支えてくれるのです).

 しかしそのために「太平記」シンドロームなるものを患ってしまい,「日本にはイイ男ばっかり」っていう幻想をもってしまったわけです.ま,この病気は,趣味の悪い「信長」が始まると同時に,自然治癒してしまいましたけどね…….

連載 でも、やっぱり歩きたい[直子の車椅子奮戦記]・14

お尻が切れた[1] 滝野澤 直子
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オシリおたく

 なんでこんなに私はオシリ,オシリって言ってばかりいるんだろう.1日に何度もオシリのことを心配している.20代も後半にさしかかり,友達は恋に仕事に燃えてるっていうのに,私ときたらオシリのことばっかり.少しはほかのことを心配しなよって……,我ながら情けない.

 大好きなひーちゃん,ごめんね,今の直子はまだ,ケイソンになる前ほど優しくも賢くもなれない(前もそれほどじゃなかったけど).だって頭の中がいつもオシリの心配で飽和状態なんだもの.梅雨時のムッとした暑い空気みたいな気持ち.頭の中にカビが生えそうよ.

連載 のんちゃんのでこぼこMYロード・23

連載 プッツン看護婦物語・30

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 病院といえば、「薬漬け、検査漬けで大儲け」と、十年一日の如く同じような批判しかしない医療評論家っているじゃない。ああいう人たちの話を聞いてると、ホントあったまにきちゃうのよね。

 薬で病院が潤うなんて、もう昔の話。今の保険診療下では、病院は決して儲からない仕組みになってるんだから。

基本情報

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看護学雑誌
57巻2号 (1993年2月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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