看護学雑誌 24巻10号 (1960年10月)

砂漠の医者
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 イスラエルのネゲブ砂漠といえば,気温は54度からもある焦熱の地帯,ここにある時1人の医者がフラリとやつて来た。開業するのかと思うとそうではない。毎目毎目焦熱のネゲブ砂漠に出かけて不毛の砂漠にただ1つ生きるセイジという枯れ草をつんでいる。全身が火ぶくれになつてつんでいる。皆は気違いだと思つてあざけつた。そのうち医者は突然砂漠ゆきをやめて,こんどは家にとじこもつたが,3日目に役場に来ると,村に贈るものがあるから私の家に来て下さいといつた。好奇心をそそられた村長以下,ぞろぞろと出かけて1歩その家にふみこんであッと驚いた。それは冷ぞう庫のように冷たかつたからである。この地方特有の強烈な北風の,風すじに当たる壁に大穴をあけ,そこに厚さ50糎ばかりに束ねたセイジをつめこんだのがからくりであつた。風は吹き抜けながら冷やされて部屋に流れこむ。この地方の人々にとつて,クーラーなど夢のまた夢。そこで人々は狂喜してまねをはじめた。暑気あたりの病気は急減し,仕事はぐんとはずんで人々は健康を保ちつつ働くことが出来た。ところで,お礼をいいたいと皆が気がついた時,その医者はいつのまにかいなくなつていた。

 以上は,実際にこの話を現地できいた或人の記事で,その人は更に次のように結んでいます。

口絵 続・写真解説看護技術・18

塗布薬の与薬法 鈴木 喜恵子
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 皮膚疾患の病理ははなはだ複雑でその原因が内的のもの,すなわち皮膚以外の臓器器管に病変機能障害または新陳代謝の異常があつて,それが原因で皮膚に発疹をみる。換言すれば,皮膚の発疹は内的疾患の一つの微候にすぎないと考えられる場合が少くない。

 この種の疾患の中には私達は局所に何等処置を施さないで内科的治療だけで全治せしめ得るものもあるが,遺憾ながら極めて少数で,大部分は同時に局所に何等かの処置を施さざるを得ないのが現状である。この意味において,膏薬療法は今日の段階では,皮膚疾患治療上依然として重要なるものである。

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低血圧症 淸水 直容
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 若い女の人が,頭が重い,疲れ易い,めまいがすると訴えて医師を訪れることがある。検査をしても正常でビタミン剤などを投与しても無効なことが多い。このような例の血圧を測つてみると100mm水銀柱以下の場合がかなりある。夏などは特に多くて一般外来の患者の中に1人や2人は必ずいるが,先ず直接に生命にどうこういうこともなし,治療にも適切なものがあまりないので放置されている。この種の疾患の治療にはその本態をよく理解して助言を与えるのが先ず第一であるから,医師とともに看護婦の協力が大事である。

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 最近,精神衛生ということが大きくクローズ・アップされてきました。

 この論文は,—総合病院精神科で実施された開放的看護というもののむずかしさ,又その重要性を述べています。—総合病院であるために起る他科とのトラブル,又他科に対して常に行われる説得等,直接看護にあたる人達の並々ならぬ苦労が伺われます。

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前号のあらすじ

 Ⅰ.老人の幸福とは,彼等がまだ世間から見捨てられていないという気持をもたせることである。家族の人達はつとめて老人に独立心と自尊心をもたせ,そのためにはまずなによりも,老人の話のよい聞き手でなければならない。

 老人が自分の家庭の外に興味をもち,同じ年代の人々と交友することも,老人にとつて有益であり,家族の人達からすすめられてそうする場合は,家族の人達が自分を忘れずにいてくれるという感情を抱かせることになる。

看護婦さんは集つて討論する
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 看護関係の集会は,毎日国内のどこかでいくつかずつ開かれている。殊に8月は学校が休みというせいもあつてか,東京都内では数多くの会合が開かれた。焼けつくような8月の東京で見たいくつかの会合,そこに共通するものは高い目標に向つての飛躍をねらう看護婦さんたちの姿である。

臨床検査とその介助

肝機能検査法 亀田 治男
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 循環や代謝の面に複雑かつ重要な機能を営む肝臓の障害は,触診等の通常の方法ではなかなか診断がつけにくく,現在では肝機能検査法が最も有効な診断法となつています。

 しがし,その検査法が500以上もあつては,どのような場合にどのように選んで組み合せるかは,これまたむずかしい問題です。

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 肺結核患者の身体の清拭は時間的にも肉体的にも非常に大変な看護業務です。だからといつてすぐに能率化しようとすれば,正しい看護ではなくなるおそれがあります。

 本文は,患者に対する影響を第1義に考えながら,この看護業務を能率化しようとした研究の発表です。

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 重症患者を扱う看護業務において,いかに正しい知識と,それにも増して暖かい心づかいが必要であるか。これは,厳正さと愛情をもつて脳動脈栓塞症患者の看護に当つたこの筆者の記録である。失語症と半身不随という心身共にハンディキャップをもつた患者を,正しい看護によつて短時日に回復にみちびいた経過を綴つた,これは優れた看護記録である。

教養講座

ことばづかいと態度〔4〕 冨田 重雄
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6.明るく,そして正確に

 病院におけることばつかいは,病院という職場にふさわしいように明るくそして正確にありたいものである。病院では,とかく患者の暗い気持ちを反映しがちであるから,ことばの表現は特に明るくありたいものである。そのためには,ことばははつきりと発音し,聞き手の耳に十分に伝達されることが必要である。歯から外へ出ないような小声は,相手に分りにくいものである。反対に,大き過ぎる声やかん高い声は,静かな病院の雰囲気をこわすことになる。口にこもらぬことばで最後まで正確に発音すべきである。よく,ことばの語尾をのみこんで,非常に不明瞭な表現をする人がある。例えば,語尾の「ます。」と「ません。」とでは,大きなちがいになることを知らねばならない。また,声の抑揚,速さ(早口は困る)なども調節されたものでありたい。適当な音量で美しい響きのある声を出すには,腹から声を出すことで,そのためには,時々腹式呼吸を十分行なうのがよい。また,姿勢をよくして話をすれば音量もよくなるはずで,誰でも自分の平素の努力次第で美しい発声ができるものである。

 そして話すときには,難かしいことばは自分の伝えたい意味,内容を相手に分りにくくするものであるから使わない。また,専門語や外来語なども職員同志以外は使わないほうがよい。それらを患者とか第三者に話すときは分りやすいいいかえのことばで話すのがよい。

教養講座 詩の話・11

観察から洞察へ 山田 岩三郎
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 ものの見方は人さまざまである。

 まず,視覚の点でも人それぞれ,正視・近視・遠視のちがいもあれば,色盲その他,眼症状の人もあろう。視力の度合,これもそれぞれにちがう。ひとりの人の左右の度がちがうことすら往々であつて,万人を厳密に検眼したら,万人おのおの個人別の差違があろうことも想像できる。指紋が万人不同だと今日の科学データが示すように,視力度の微少さを追求してみたら,視覚も万人不同であるかもしれない。

時の動き

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 ずい分暑い夏でしたが,やつと秋風が立ち初め,すがすがしい気分になりました。

 怒濤のような安保反対運動,岸首相の退陣,池田内閣の誕生と,あわただしい政界の動きもやつと納まり,静かな秋が訪れました。三池の争議も,中労委のあつせんで,どうやら流血の闘いはおわり,解決のメドがついて来ました。

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女性の作品と“女の悲しみ”

 編集部 座談会の趣旨は,以前村田先生作の「天使の部屋」というテレビ・ドラマが上演されまして,あちこちでだいぶ問題になつたことがございますけど,それをきつかけにして,先生の取り上げていらつしやる女の生き方というようなことをきようのテーマにしてみたいと思つております。

 村田先生は,この「天使の部屋」を通じて,女の悲しさというようなことを打ち出してみたかつたとおつしやつていらつしやいましたが,女の悲しさということは,言いかえれば,あるいは女の幸福とは一体どういうことかということにつながるものだと思いますけれども,そういう意味で,女の幸福とはなにかというようなことで話を進めていただきたいと思つております。

ナースの作文

栗ちやん,他 宮下 政子
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 夕方,1人ベットの柵につかまつて,遠くを眺めている。

 —さあ,栗ちやん,お顔を拭きましようね。

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大いなる樹海の中の朴の花

 〔評〕一気に詠み下した句の勢が夏らしさをあらわしています。

連載小説

胎動期〔9〕 十津川 光子 , 久米 宏一
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 新年に入つてから早々に宮田正子の退職が発表された。

 突然のことに最初は誰も信じなかつた。年末年始と顔を見せないのは,休暇で故郷へでも帰つたのだろうと思われていた。

基本情報

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看護学雑誌
24巻10号 (1960年10月)
電子版ISSN:1345-2746 印刷版ISSN:0386-9830 医学書院

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