教養講座
ことばづかいと態度〔4〕
冨田 重雄
1
1市川市病院協会財団法人化学療法研究所付属病院
pp.37-39
発行日 1960年10月15日
Published Date 1960/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661911180
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6.明るく,そして正確に
病院におけることばつかいは,病院という職場にふさわしいように明るくそして正確にありたいものである。病院では,とかく患者の暗い気持ちを反映しがちであるから,ことばの表現は特に明るくありたいものである。そのためには,ことばははつきりと発音し,聞き手の耳に十分に伝達されることが必要である。歯から外へ出ないような小声は,相手に分りにくいものである。反対に,大き過ぎる声やかん高い声は,静かな病院の雰囲気をこわすことになる。口にこもらぬことばで最後まで正確に発音すべきである。よく,ことばの語尾をのみこんで,非常に不明瞭な表現をする人がある。例えば,語尾の「ます。」と「ません。」とでは,大きなちがいになることを知らねばならない。また,声の抑揚,速さ(早口は困る)なども調節されたものでありたい。適当な音量で美しい響きのある声を出すには,腹から声を出すことで,そのためには,時々腹式呼吸を十分行なうのがよい。また,姿勢をよくして話をすれば音量もよくなるはずで,誰でも自分の平素の努力次第で美しい発声ができるものである。
そして話すときには,難かしいことばは自分の伝えたい意味,内容を相手に分りにくくするものであるから使わない。また,専門語や外来語なども職員同志以外は使わないほうがよい。それらを患者とか第三者に話すときは分りやすいいいかえのことばで話すのがよい。
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