臨床泌尿器科 74巻1号 (2020年1月)

特集 地域で診る・看取る緩和ケア―泌尿器科医として知っておくべきこと

企画にあたって 田中 良典
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 本誌で緩和医療を特集するのは2015年8月号以来,約4年半ぶりです.前回は本誌の主な読者である若手〜中堅泌尿器科医が,ご自分の担当患者に対し,さまざまな臓器症状,精神症状,倦怠感や輸液に対するマネジメントを実践できることを目標に,緩和医療学会のエキスパートの先生方を中心に解説いただきました.

 それから4年以上が経過し,がん患者は増加の一途をたどるなかで,新たな鎮痛薬,鎮痛補助薬が登場しました.また,がん診療拠点病院では主治医や担当医として緩和ケア研修会の受講が義務づけられ,読者の皆さんの多くも研修会を受講されたことと思います.

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▶ポイント

・正確な症状アセスメントなしには,効果的な症状マネジメントは望めない.治療をしたら,治療の再評価も忘れない.

・患者・家族は多様な苦痛を抱えているため,常に多面的に捉える.多職種チームアプローチが重要である.

・患者・家族の苦痛だけを捉えず,ひとりの人として希望や価値観など包括的アセスメントを実践する.

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▶ポイント

・がん性疼痛の緩和は,がん患者の「ふつうの生活」を取り戻すためにある.

・鎮痛薬は新規オピオイドも含め,多数の選択肢のなかから患者の身体機能,病状,社会的背景に「合ったもの」を選ぶ.

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▶ポイント

・がん患者において,呼吸困難や咳嗽は頻度,苦痛度の高い症状である.

・呼吸困難や咳嗽には,がんやがん治療に関連する原因とがんに関連のない原因とがあり,原因病態に応じた治療を行う.

・呼吸困難や咳嗽には,モルヒネなどのオピオイドを中心とした薬物療法や非薬物療法・ケアを行う.

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▶ポイント

・悪心・嘔吐は原因を推定し病態・原因に応じた制吐薬を選択する必要がある.

・便秘は緩下剤,大腸刺激性下剤,新規下剤(上皮機能変容薬,胆汁酸トランスポーター阻害薬,末梢性オピオイドμ受容体拮抗薬)を病態に応じ,適切に選択する必要がある.

・下痢は感染性下痢を否定し,止痢剤,整腸剤を調整する.

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▶ポイント

・在宅療養や看取りの場面では特に本人や家族の意向に沿ったケアの提供が重要であるため,常に患者家族との対話を大切にする.

・泌尿器科医として対象となる患者の治療やケア全体を意識した対策を検討する.

骨転移マネジメント 原 慶宏
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▶ポイント

・骨転移はすみやかな診断とただちに治療方針を決定することが最も重要である.

・腎細胞癌骨転移は手術を実施することが多く,可能であれば局所根治手術を目指す.

・前立腺癌は骨転移に対しても内分泌療法や骨修飾薬,放射線治療などが有効だが,構築学的問題がある場合には手術が必要である.

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▶ポイント

・「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」の改定に伴い,アドバンス・ケア・プランニングを含む意思決定支援の重要性が強調されている.

・意思決定支援においては,医療の実施/非実施の希望を文書や記録に残すことだけではなく,医療者と代理決定者が患者の心理社会的・情緒的背景を理解し共有するプロセスが重要である.

・アドバンス・ケア・プランニングは,患者の予後から推測される適切な時期に,患者の病状認識・話し合うための心構えなどを見極めて開始する必要がある.

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▶ポイント

・院内緩和ケアチームは,臨床における緩和ケアの提供だけでなく,組織内外において,緩和ケアの普及に向けて活動している.

・緩和ケアチーム看護師はコンサルテーション活動を通して,患者・家族と医療者や,関わる医療者間をつなぐ役割を担い,担当医や看護師による緩和ケアの実践を支援している.

・患者・家族のQOL向上を目指し,緩和ケアチームも患者・家族の意思決定支援の一端を担っている.

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▶ポイント

・緩和ケアと緩和ケア病棟を正しく理解し,利用する.

・地域で在宅医療を担う医師の役割.

・誰がどこで看取るのかを意識して連携する.

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▶ポイント

・訪問看護は,治療過程から看取りまで幅広い病期の患者を対象としている.

・治療方法については,科学的根拠だけでなく個々の患者の状況や価値観を考慮し,他職種と連携して選択を支援する必要がある.

・病院か在宅かではなく,地域包括ケアの視点をもち患者を切れ目なく支えていくことが求められる.

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▶ポイント

・緩和ケア病棟には療養場所としてだけでなく,在宅療養を支える地域連携機能が求められる時代となった.

・がん治療中からのアドバンス・ケア・プランニングは,終末期の適切な療養先選択において重要である.

・終末期がん患者でも地域包括ケアシステムのなかで,住み慣れた地域で安心して過ごせる体制づくりが必要である.

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要旨

 近年,少数か所の転移,いわゆるoligometastasisの前立腺癌症例に対する治療の有効性が話題になっている.多くは内分泌療法感受性症例に対するものであるが,去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)に対する治療成績も少数ながら報告されている.本稿では,CRPC症例における局所治療ということで,oligometastasisに対する治療,M0症例での原発巣の治療について最近の文献をレビューし,解説する.

連載 医薬系プレゼンテーションの技術―知れば,学べば,必ず上達!・第1回【新連載】

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プレゼンテーションとは?

◯あなたの伝えたいこと,聞き手が知りたいことを,理解・納得・共感とともに伝えること

 プレゼンテーションってなんだろう? 今,この記事を読んでいるあなたはきっとプレゼンテーションを経験したことがある.または,これから実施しなければならない状況にいるのであろう.そして,なんとなくプレゼンテーションの意味を知っているのであろう.

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 がん薬物療法剤は,化学療法剤,ホルモン療法剤,分子標的薬と合わせて,現在では150種類を超える数となった.さらに,これらの薬剤は単剤で投与されるのではなく,複数の薬剤を組み合わせて,「レジメン」として投与される.

 がん薬物療法専門医が不足している日本では,まだまだ,がん薬物療法の標準治療がきちんと行われているとは言い難い状況にある.「エビデンスに基づく標準治療の実践」は日本における長年の課題である.がん薬物療法のレジメンとその対応マニュアルは,病院ごとに作成・管理されるものであり,各病院のノウハウが詰まったものである.優れたレジメンマニュアルは,専門医の多い病院では,作成するのはたやすいことであったと思われるが,専門医がいない,少ない病院では,きちんとしたレジメンマニュアルを作るのは困難であった.

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目次

バックナンバーのご案内

次号予告

編集後記 大家 基嗣
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 長年の謎に回答らしきものを得ることができました.本誌2012年5月号の編集後記で触れた小学生の頃からの疑問です.「お坊さんは正座をしてもなぜ足が痺れないのか?」「読経の後に平気ですーっと立てるのはなぜなのか?」

 東京はおそろしい街で,私が勤める慶應義塾大学病院の隣町である四谷に,「坊主バー」という店があることを知りました.仕事仲間と2年前に訪れ,店のバーテンダー(もちろんお坊さんです)に「なぜ痺れないのか?」と単刀直入に尋ねたところ,「痺れる」の一言でした.そんなことはないだろうと食い下がる私に,「般若心教」が手渡され,「読経の時間です.皆で唱えましょう」と客全員参加の読経が始まりました.私も大きな声で唱えました.読経が終わるとなぜかスッキリした気持ちになり,足の痺れの件は忘れてしまいました.

基本情報

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臨床泌尿器科
74巻1号 (2020年1月)
電子版ISSN:1882-1332 印刷版ISSN:0385-2393 医学書院

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