病院 78巻3号 (2019年3月)

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あふれ返る情報から,いかに必要なものを収集し分析して病院経営に役立てられるか.

そのために重要なことは何か.

DPC公開データやNDBオープンデータなど,膨大な医療情報を巧みに可視化して公開する石川氏に,豊富な経験を踏まえて解説いただく.

特集 情報爆発へ病院はいかに対応するか

巻頭言 松田 晋哉
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 厚生労働省のNDB(National Database)オープンデータや内閣府の見える化システムなど,近年,医療・介護に関連するビッグデータの活用とその成果の公開が急速に進んでいる.また,膨大な医学論文が日々公開され,一般国民にもアクセス可能な状況になっている.こうした環境下で,種々のデータを病院経営に活用することが必須条件となる一方で,膨大なデータをどのように活用すればよいのか,困惑している経営者も少なくない.そこで本特集では,膨大な情報をどのように整理し,病院経営に役立てるべきであるかについて,有識者,実務者の見解をまとめた.

 松田論文では医療・介護ビッグデータの整備と活用が急速に進みつつある外部環境を踏まえた上で,病院における情報担当部門の充実の必要性を説明している.情報公開の進展は,病院の情報への対応能力の向上を要求するということが理解されなければならない.

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●DPCやNDBなどの医療・介護ビッグデータの整備と活用が急速に進んでいる.

●今後,そうしたデータを用いたQuality Indicatorの公開など,医療・介護サービスの透明化が進む.

●こうした変化に対応するために,病院は情報部門の強化が必要になる.

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●データは医療にとって不可欠な存在となり,個々の医療施設においても「ビッグデータ」的な思考が求められるようになってきている.

●本稿では,医療施設におけるデータ管理の考え方から始まり,データ活用を促進するシステム構築方法について解説する.

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●医療でも情報爆発は既に始まっており,人間の脳で処理できる限界を超えつつあるが,これから情報量はさらに飛躍的に増大する.

●情報爆発の原因は,医学の進歩そのものでもあるが,情報の散在や多様化への対応の遅れ,つまり標準化・統合化の遅れによるものも大きい.

●社会全体による情報の標準化・統合化を推進すると同時に,各病院でも情報に関する担当者の明確化と役割分担が重要である.

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●高齢社会において,時間軸で個人が各種制度をわたる機会が増加する.ならば,医療情報ばかりではなく,介護・福祉情報,さらには生活情報を統合し,共有化することは極めて妥当かつ重要だ.

●収集したビッグデータの利活用は,今後AIエンジンの普及などでさらに進むだろうが,顧客個人がデータを管理し,活用するPHR(Personal Health Record)の導入も図るべきである.

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●医療の質評価を行う専門部門としてクオリティ・マネジメント・センターを設置した.

●病院内のデータを集約し,診療および経営の視点から,さまざまな分析を実施している.

●クオリティ・マネージャーの養成やPDCA活動にも取り組んでいる.

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■はじめに

 いわゆる消費税問題は,病院経営に暗い影を落とし続けてきた.1989年の消費税創設時から,社会保険診療にかかる消費税は社会政策的な配慮から非課税とされ,医療機関は控除対象外消費税の負担に苦しめられてきている.この控除対象外消費税問題は,民間病院だけではなく公的病院も含め,あらゆる設立主体の経営に影響を与えている.

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■給食で地産地消に一役

 田無病院が位置する東京都西東京市は「都市と農業が共生するまちづくり事業」の一環として,地産地消を推進している.2014年に院長に就任した丸山道生氏は,この立地を生かさない手はないと考え,「老いても足で歩くまち,老いても口から食べるまち,西東京」というキャッチフレーズを掲げ,リハビリテーションと栄養に力を入れた.患者さんが安心して食べられて,地域の農業に貢献できればいい.そんな思いから,「地産地消給食プロジェクト」を始めた.市の担当課からJAの農友会を紹介してもらい,協力を得られた.

 栄養科長の工藤正美氏は,「農家さんが直接届けてくれるので安心ですし,地元の野菜だと知ると偏食気味の患者さんも食が進むようです」と言う.野菜の旬と献立とのマッチングの手間や,少量発注の割高感はあるものの,食事に用いた野菜の産地と生産者を記したポスターが病棟でも話題となり,栄養士や調理師のやりがいにもつながっているという.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・51

気仙沼市立病院 厳 爽
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 気仙沼市立病院は,地域唯一の災害拠点病院として宮城県最北に立地している(図1).1880年の開院以降,度重なる移転を経て海抜約3〜24mの緩やかな傾斜地高台に移転したのは1964年だった.その後,1995年までに増改築が繰り返されてきたが,老朽化が進み,建物の60%が旧耐震基準に依っているなど,大規模震災時の安全確保対策が急務であった.このような背景において,2010年8月に市街地からやや離れた高台(図2)への移転建て替え基本構想計画が策定された.しかし,本格的な検討を始めようとした矢先の2011年3月に東日本大震災が発生した.

 震災を経て新たに進められた建て替え計画では「海と共に生きる-復興する街のシンボルを創る-」をテーマとした.具体的にはFunction(機能性),Symbol(シンボル性),Safety(安全性),Locality(地域性),Ecology(自然共生),Amenity(アメニティ),Save Energy(省エネ),Economy(経済性)をコンセプトとして掲げ,災害に強い急性期病院を目指した.2014年9月に新病院新築移転工事の着工を迎え,2017年4月に竣工,同年11月に新病院での外来診療がほぼ予定通りに開始した.

連載 事例から探る地域医療再生のカギ・26

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 2017年6月12日,筆者は富山大学附属病院を訪問し,3度目の講演を行った.まずは,前編で紹介した1年目の大幅な経営改革による黒字化について高く評価し,職員の皆さんの努力をねぎらった.その上で,富山県の地域医療において附属病院の果たす意義の大きさ,人材投資の必要性について話した.

 齋藤滋病院長就任1年目は病院決算が赤字であったため,大学本部から大型医療機器の購入や職員採用などの投資はほとんど認められなかった.そこで,DPC入院期間Ⅱ以内での退院促進と徹底的な経費節減による収支の改善に取り組んだ.その結果,4千万円の黒字を達成し,大型医療機器の購入や職員採用などの投資が可能となった.2年目は徹底的な経費節減の継続と共に積極的な投資による収益改善を目指すこととした.

連載 事例と財務から読み解く 地域に根差した中小病院の経営・14

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 2018年4月の診療報酬改定では,地域包括ケア病棟入院基本料に関して,中小病院の参入を促す観点から算定要件の変更が実施されている.急性期一般入院基本料などを算定している200床未満の中小病院にあっては,地域包括ケア病棟への移行を検討している病院も多いことと思う.今回は,2018年9月から全病床を地域包括ケア病棟入院料1に移行した右田病院の事例について紹介したい.

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■立入調査は突然やってくる

 誰もが知る超有名病院への労働基準監督署の立入調査や,割増賃金の未払解消を含む是正勧告による巨額の支払が行われたことは,読者の皆様の記憶にも新しいところと思われる.いかに応召義務の制約や地域医療の担い手といった使命を負う医療機関でも聖域ではなく,医療機関への労働基準監督署の立入調査は実施され,特に活況の様相を呈している昨今注1,病院経営者としては決して対岸の火事ではない.立入調査は,あなたの病院にも突然やってくるのである.

 「労働基準監督署による立入調査が始まる」と聞いただけで,不安に駆られて,途方に暮れる病院経営者も多いかもしれない.しかし,ここで理解していただきたいのは,立入調査への対応を冷静に理解していれば,過度に恐れる必要はなく,他方で,労働基準監督署の調査に対する不用意な対応は,取り返しのつかない事態を招く可能性があることである.そのため,労働基準監督署の立入調査については,正しい理解に基づき,適切な対応を心がけることが重要となってくる.

連載 多文化社会NIPPONの医療・18

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 2019年1月の成人式のニュースで,東京都新宿区では新成人の約2人に1人が外国人であると報じられた.医療機関を受診する人は高齢者が多いので,分母としての外国人が増えても,日本の医療がいま直面しているような高齢者や終末期をめぐる課題への影響は現時点ではほぼない.一方で,若年層ならではの医療ニーズは高まっている.今回は,若い女性の健康,リプロダクティブヘルスにおける外国人受診者の受け入れ体制整備の課題を紹介したい.

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病院
78巻3号 (2019年3月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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