連載 アーキテクチャー×マネジメント・51
気仙沼市立病院
厳 爽
1
1宮城学院女子大学生活科学部生活文化デザイン学科
pp.162-167
発行日 2019年3月1日
Published Date 2019/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210910
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気仙沼市立病院は,地域唯一の災害拠点病院として宮城県最北に立地している(図1).1880年の開院以降,度重なる移転を経て海抜約3〜24mの緩やかな傾斜地高台に移転したのは1964年だった.その後,1995年までに増改築が繰り返されてきたが,老朽化が進み,建物の60%が旧耐震基準に依っているなど,大規模震災時の安全確保対策が急務であった.このような背景において,2010年8月に市街地からやや離れた高台(図2)への移転建て替え基本構想計画が策定された.しかし,本格的な検討を始めようとした矢先の2011年3月に東日本大震災が発生した.
震災を経て新たに進められた建て替え計画では「海と共に生きる-復興する街のシンボルを創る-」をテーマとした.具体的にはFunction(機能性),Symbol(シンボル性),Safety(安全性),Locality(地域性),Ecology(自然共生),Amenity(アメニティ),Save Energy(省エネ),Economy(経済性)をコンセプトとして掲げ,災害に強い急性期病院を目指した.2014年9月に新病院新築移転工事の着工を迎え,2017年4月に竣工,同年11月に新病院での外来診療がほぼ予定通りに開始した.
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