連載 医療機関で起きる法的トラブルへの対処法・48
一般の病院における身体拘束について
高坂 佳郁子
1
1弁護士法人 色川法律事務所
pp.310-314
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.038523770840040310
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■1 医療機関における現状
医療機関は,多様な疾患,あらゆる年代の入院患者を受け入れており,中には病状を正確に理解できず,医師や看護師から注意事項を伝えられても守ることができない患者もいます.高齢化が進む現代においては,認知能力に問題のある患者の割合は今後さらに増えるものと推察されます.
医療機関は入院中に患者に事故が生じないよう,安全配慮を尽くす必要がありますが,1人の患者に対して常にスタッフが付き添うということは不可能です.本人の同意を欠く身体拘束は,個人の自由を奪い尊厳を損なうものであり,原則的に違法とされていますが,病状を正確に理解できず,注意事項を守ることができないような入院患者に対する身体拘束の検討は,多くの医療機関において経験されているのではないでしょうか.

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