Neurological Surgery 脳神経外科 42巻11号 (2014年11月)

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 「どうプレゼンテーション(以下,プレゼン)するか?」これは極めて重要なことである.私もこれまで多くの学会発表や講演を行ってきたが,「非常によかった」「わかりやすかった」とおほめの言葉をいただくこともあれば,まったく質問が出なかったり,「ちょっと難しかった」という感想を聞いて,がっくりと肩を落とすこともある.また日々の診療においてもプレゼン力はとても重要だと思っている.このため毎朝のカンファレンスや学会発表,論文作成では特に熱を入れて指導しているのだが,「内容さえよければプレゼンの方法はどうでもよいと教えられました」という人もいる.これはある意味当たっているのだが,人生の中で本当に興味をひく面白い発表などそう多くはない.それに,自分が興味深いと考えていることを他者にうまく伝えることさえ実は容易ではない.そこで,ここでは私が普段からプレゼンについて感じていることを,若手の先生方の参考となるよう述べてみたいと思う.

 よいプレゼンはどれもわかりやすい.しかし,そのような発表を行うには一定の準備が必要である.ただ,短時間の症例呈示であっても,英語の原著論文の執筆であっても,手順はそれほど変わらない.以下,私が考える基本的な準備について述べてみたい.

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Ⅰ.はじめに

 Glioblastoma(GBM)は星細胞系腫瘍群で最も予後の悪い腫瘍型で,脳内を浸潤性破壊性に増殖する.90%以上は前病変なく発生するprimary GBMであるが,残りはdiffuse astrocytomaやanaplastic astrocytomaから悪性転化するsecondary GBMで,より若年層に発生する.分子生物学的にはprimary GBMはEGFRの過剰発現や増幅,PTENの欠失などが高頻度にみられるが,secondary GBMではp53変異が高率に検出される.またIDH1変異はsecondary GBMで高率にみられるが,primary GBMではほとんど認められない.

 GBMの亜型としてoligodendroglioma成分を伴う症例があり,GBM with oligodendroglial component(GBMO)と呼ばれている.GBMOはanaplastic oligoastrocytomaのastrocytic tumor部分に壊死が存在する場合,WHO 2007分類からGBMに分類されている11).しかし近年,通常のGBMに乏突起膠腫成分を認める腫瘍をGBMOと呼ぶ傾向が強くなり,未だGBMOの概念や予後については議論のあるところである.

 すなわちGBMOにおける腫瘍の起源や予後については,さまざまな施設より報告が相次いでいるが,未だ混沌としており一致した見解はみられていない.

 今回われわれは自験例のGBMO 9例において,種々のマーカーを免疫染色およびFISH法を行い,予後も含めてconventional GBM(cGBM)と比較検討したので報告するとともに,過去のGBMOに関する文献的考察を行い,現時点における本腫瘍の起源と予後についてまとめてみた.

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Ⅰ.はじめに

 頚動脈ステント留置術(carotid artery stenting:CAS)は頚動脈内膜剝離術(carotid endarterectomy:CEA)high risk例を対象に汎用されている.本法に特異的な合併症として,発症頻度は低いものの重篤な障害を残すこともあるステント内血栓症が問題となっている5).そこで,今回当施設で経験したCAS施行例を対象にステント内血栓症の発症要因や発症時期,治療法について検討し,文献的考察も加えて報告する.

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Ⅰ.はじめに

 髄膜腫は頭蓋内腫瘍の中では最も頻度の高い良性腫瘍である1).ときに脳主幹動脈ならびに穿通枝を巻き込みながら増大し,腫瘍の摘出を困難にすることが報告されている7,19).われわれは,最大限の病変摘出と術後の機能温存の両立を支援する手術用治療器として液体(水)ジェットによるパルスジェットメスの開発を進めてきた.パルスジェットメスは水流により組織を線状に切開,もしくは体積をもつ塊を破砕するデバイスで,最大の特徴は熱損傷がない点と高い組織選択性をもち細血管(200μm程度)温存下に組織切開・破砕が可能である点である.こうした特性は早くから注目され,25年以上前から腹部外科を中心に臨床応用されてきた15).特に,脳,あるいは脳と同様に細血管からの出血や胆管損傷の処置に難渋する肝切除術では既存の手術デバイス(超音波手術装置)と比較して手術時間短縮と出血量減少効果が報告されている12,17).

 われわれもこれまで,工学実験,動物実験を行い,血管温存下に組織切開が可能であることに関する概念実証を確立し6,9),下垂体近傍疾患に対して,historical controlと比較して,統計学的有意に摘出率の増加,術中出血量の減少,手術時間の短縮効果を認め報告した13).その後さらに研究を進め,実効水量が極めて微量の高速液体ジェットをパルス状に発生させる技術を駆使したピエゾ方式パルスジェットメスを開発20)し,現在,東北大学病院倫理委員会の承認を得て,血管温存下に組織切開が可能であるとする概念実証確立のため臨床試験を開始している(UMIN ID 000012007).

 今回,われわれは本臨床試験の1例として,内頚動脈の一部と中大脳動脈を巻き込む蝶形骨縁髄膜腫の摘出手術を行った.パルスジェットメスを用いて,血管を温存しながら腫瘍摘出を行うことが可能であった.本手術用治療器の有用性について若干の文献的考察を加え報告する.

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Ⅰ.はじめに

 もやもや病は内頚動脈終末部近傍に進行性の狭窄や閉塞を来す疾患であり,脳循環の低下により一過性脳虚血発作や脳梗塞が,また脆弱なもやもや血管の破綻により脳内出血が生じる原因不明の疾患である.頭蓋内に脳動脈瘤を合併する頻度は3〜15%2,8-10)との報告がある.動脈瘤が破裂した際に直達術は非常に困難であり,危険を伴う4,9,11,13).近年の脳血管内治療の進歩は目覚ましく,そのような動脈瘤に対しても治療可能となった2,19).くも膜下出血(SAH)で発症した家族性もやもや病に合併した破裂脳動脈瘤に対する治療を報告した例は稀である.われわれは治療法に対する問題点と周術期管理について考察を加え,報告する.

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Ⅰ.はじめに

 外傷性視神経損傷に対する治療には経過観察,ステロイドを使用した保存的治療,視神経管を開放する外科的手術療法が存在するが,標準的治療方針は未だ確立されてはいない.治療法の選択,その適切な時期については前向き無作為臨床研究はなされておらず,統一した見解は得られていないためおのおのの症例で個別に判断されているのが現状である.今回われわれは硬膜外前床突起切除と視神経管開放により,著明な視力の改善が得られた外傷性視神経損傷の1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告する.

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Ⅰ.はじめに

 たこつぼ型心筋症は左室心尖部のバルーン状拡張と心基部の過収縮により左室がたこつぼのような形態をとる疾患である4).一般に自然に軽快し予後はよいが,なかには呼吸不全や心破裂を起こし致命的になることもある.今回われわれは脳梗塞後の症候性てんかんにたこつぼ型心筋症を併発した1例を経験したため報告する.

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Ⅰ.はじめに

 脊髄脂肪腫がMRIで示す信号態度として,従来法であるスピンエコー法T1強調画像での高信号,T2強調画像での低信号5,10,12)がよく知られている.しかし今回われわれは,今日多用されている高速スピンエコー(fast spin-echo:FSE)法MRIの従来法とは異なる特性に留意し読影すべきであった脊髄髄内脂肪腫の1例を経験したので報告する.

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Ⅰ.はじめに

 海綿状血管腫は全身のさまざまな部位に発生するが,骨発生の海綿状血管腫は稀で,骨腫瘍全体の0.7%である9).頭蓋骨に発生する例はさらに稀で骨腫瘍全体の0.2%と報告されており17),その中でも蝶形骨に発生した例はわれわれが渉猟し得た中でも本症例を含めてわずかに8例であり極めて稀である1,2,5,7,12,13,17).今回われわれは進行性の眼球突出と複視で発症し,右眼窩上壁から蝶形骨にかけて進展した極めて稀な蝶形骨発生海綿状血管腫を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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Ⅰ.はじめに

 「自国人の移植は自国内で」といったイスタンブール宣言や2010年7月に改正臓器移植法が施行されて以来,本邦における心臓移植の症例数は増加している.これに伴い,移植待機患者や移植までのつなぎとしての植え込み型補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)装着患者の増加が見込まれている.VAD装着患者には脳塞栓症が多いことが知られているが,具体的な血栓の性質,血管内治療の手術手技に関する報告は少ない.今回,われわれはVAD装着患者が急性期脳塞栓症を発症し,血栓吸引術を行い奏功した1例を経験したので文献的考察を加味して報告する.

連載 脳卒中専門医に必要な基本的知識

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Ⅰ.はじめに

 脳梗塞慢性期外科治療としての慢性期血行再建術のうち代表的なものについて,脳卒中専門医として外科治療の適応決定および治療法選択に必要なエビデンスと基本的知識を中心に概説する.

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略語および度量衡単位について

次号予告

編集後記 新井 一
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 本号の「扉」には兵庫医科大学の吉村紳一教授から,「どうプレゼンテーションするか?」と題する原稿をいただいた.これから学会などで発表予定の若手医師には熟読することを勧めるが,改めて読み返してみると私自身もうなずく点が多々ある内容であった.プレゼンテーションとは,換言すれば自分の「知」を他人に伝える作業である.自分の思いをいかにわかりやすく,かつ公平な立場で他人に伝えることができるのかが,ポイントであることは言うまでもない.ソクラテスの言葉の1つとして知られているものに,「無知の知」がある.自分が無知であることを知ることにより他者より優位な立場になる,また同時に真の知への探求はまず自分が無知であることを知ることから始まるとの意味とされている.さらに付言すれば,「知」を得ることにより新たな「無知」の世界が広がることを知るべきであり,これによって科学の進歩がもたらされてきたと言っても過言ではない.獲得した「知」により何が知り得ないものとして浮上してきたのか,この点に言及することもよりよいプレゼンテーションの条件になるように思う.

 「総説」ではglioblastomaとglioblastoma with oligodendroglial componentについて,著者らの経験症例の解析と文献的考察が述べられている.古典的な病理診断の意義を考えさせられる内容であったが,それはそれとして連載・脳卒中専門医に必要な基本的知識「脳梗塞慢性期外科治療」とともに読み応えのあるレビュー論文となっており,専門医試験受験生必読の論文である.また,「テクニカル・ノート」では,東北大学脳神経外科学教室が開発したパルスジェットメスの使用経験が述べられている.紙面のみではなかなか伝えきれない部分もあったかと思われるが,血管を温存しつつ髄膜腫の摘出を可能たらしめた本機器の有用性を示す内容であった.日本発の新たな医療機器として,さらなる発展を期待したい.これらの論文以外に,本号には研究1編,症例6編が掲載されている.いずれも内容の充実した力作であり,読者諸氏の興味の対象になることを確信する.

基本情報

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Neurological Surgery 脳神経外科
42巻11号 (2014年11月)
電子版ISSN:1882-1251 印刷版ISSN:0301-2603 医学書院

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