看護研究 52巻2号 (2019年4月)

特集 よい質的研究論文を発表するために—セミナー「How to Peer Review and Publish Qualitative Papers」より

萱間 真美
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 研究論文は,査読を経てWebや紙媒体のジャーナルに掲載され,読む人に新しい知識や視点を提供する。著者をはじめ査読者,編集委員,編集者,編集委員長などが研究論文の採択プロセスに関与する。研究成果が発表される意義と,ジャーナルの編集方針が一致している場合,論文をより理解されやすく洗練していくプロセスを皆で歩む,協働作業である。

 自分の論文が査読を経て,査読に応えて修正する間に,本当によくなって掲載されたと感謝するのは,幸福な瞬間である。しかし,その幸福を味わえている人は多くないのではないか。傷つけられたと感じたり,業績をあげるために不本意な雑誌への投稿に甘んじ,雑誌の編集方針など関心がないという場合も多いのではないか,という問題意識をもったことが,筆者が研究に取り組んだきっかけである。

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質的研究の査読をめぐる状況の変化

 かつて,量的研究VS質的研究という対立の図式があった。量的研究という言葉は,伝統的な科学の手法であり,確立された方法論をもっているという意味で使われていた。それに対して質的研究は,現象を記述し,概念化し,理論化するために不可欠な方法だけれど,新参者であり,評価が定まっておらず,科学的でないという差別を受けがちであるという意味をもっていた。量VS質という対立軸が明確で,質的研究方法を用いる研究者で連帯し,団結して市民権を得ようと頑張った時代があった。質的研究をデータに基づいた科学的な論文として認める人は,それだけで味方であり,身内であった。そこには「量的研究者と比較して」という条件つきで,相対的に,という前置きがあるのだが,それはいったん脇に置かれていた。

 2者の対立において,質的研究をする人たちというのは,味方の集団に属していた。質的研究の中でも科学観は多様で,現象をどのように捉えるかという立場は異なっており,学んできた方法論も異なる。しかし,量VS質のような大きな対立軸の前に,そのような違いは相対的に些細なことと捉えられていた。質的研究を認める人であればわかってくれるはずであり,わかってくれて当たり前であると思っていた。

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 本稿は,セミナー「How to Peer Review and Publish Qualitative Papers」〔2018年10月14日(日)於:東京都品川区〕にて行なわれた講演をもとにした執筆原稿です。

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 本稿は,セミナー「How to Peer Review and Publish Qualitative Papers」〔2018年10月14日(日)於:東京都品川区〕にて行なわれた講演を,木下康仁先生の編集により再構成したものです。

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 本稿は,セミナー「How to Peer Review and Publish Qualitative Papers」〔2018年10月14日(日)於:東京都品川区〕にて行なわれた講演をもとにした執筆原稿です。

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 本稿は,セミナー「How to Peer Review and Publish Qualitative Papers」〔2018年10月14日(日)於:東京都品川区〕にて行なわれた質疑応答を再構成したものです。

特別記事

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憂鬱な日課—迷惑メールチェック

 1日の始まりは,昨日の仕事終わり後に来たメールのチェックと返信から,を日課にしている人は多いだろう。メールによるコミュニケーションは,年々その量を増すばかりで,ただでさえその日課をこなすのが大変だという読者もいるだろう。昨今では,これに加えてさらに憂鬱な日課が待っている。「迷惑メールフォルダチェック」である。

 電子メーラーの多くは,なんらかの学習アルゴリズムで迷惑メールを判別し,自動で迷惑メールフォルダに放り込んでくれる。しかし,メーラーも完ぺきではないので,時折本当に大切なメールも間違って迷惑メールとして扱われてしまうことがある。そこで,「迷惑メールフォルダチェック」が必要になる。迷惑メールフォルダをのぞいてみると“Call for manuscript”だの“Invitation to submit……”だの,中にはメールをした覚えもないのに“Re: article submission”だの,さまざまな英語の件名がずらりと並ぶ。日に日にその数は増し,憂鬱な作業が長くなるだけで十分有害であるのだが,これらのメールの送り主であるいわゆる「ハゲタカ出版社」の有害さはそれにとどまらず,アカデミアの根源を揺るがしかねない害を有している。

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前回の第3報(本誌52巻1号)では,本研究における分析から導き出された概念《場のモニタリング》について検討した。今回は《子どもの頑張りを支える》について検討する。

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 2018年12月18日朝,Margaret Newman先生が亡くなられた。先生の姪のドナから知らせるメールが届いたときは,亡くなられたという時刻から,まだ20分しか過ぎていなかった。享年85歳であった(写真1)。

 Newman先生は,2年ほど前に転倒による頭部血腫の手術を受け,その後,車椅子の生活になっていた。10月頃から食欲がないというメールが届き,11月16〜17日に先生を見舞うためにアメリカに行った。そのわずか1か月後のことであった。

連載 インタビューデータ分析の質向上のためのNVivo活用術・1【新連載】

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 インタビューデータには力がある。当事者にしかできない言い回し,当事者だけが知る言葉を探し当て,ぴったりフィットするデータとともに差し出したときの,聴衆や読み手の沈黙。その時間は,見知らぬ誰かの言葉が自分の体験の上にゆっくりと重ねられ,理解の扉を開けるための時間だ。全く同じ体験はなくても,類似の体験や感情を手掛かりにして,自分の体の感覚として追体験する瞬間である。そのとき,これまでの言葉は役に立たなくなり,人は沈黙するのだと思う。

 このような瞬間をもたらすことのできる概念は,転移(移転)可能性が高い概念である。質的データを分析する人の目標は,このような概念を,たとえ1つでもよいから,抽出することといってもよい。この作業が「現象を記述することで,理解を深める」という質的研究の目的である。

連載 集まる つながる 広がる 若手研究者のバトン・5

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若手研究者は,今日も看護の未来に向けて疾走中。

ここはそんな同じ目標を抱く者同士が,ぷらっと立ち寄り語り合う場所。

誌面をフィールドに,思いをバトンに乗せて語り継いでいきます。

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 秋を迎える蝉はいない。すべての生き物には寿命がある。

 科学によって感染症や疾患を克服してきた私たちは,命には終わりがあるという事実から目を逸らしてきたのかもしれない。限られた生を突き付けられたとき,いまを生きることの重みにたじろぎ,押しつぶされそうになる。終焉に向け機能が落ちていく身体をもって,限られた時間をどう生きればよいのか。そのヒントが,この本には詰まっている。

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基本情報

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看護研究
52巻2号 (2019年4月)
電子版ISSN:1882-1405 印刷版ISSN:0022-8370 医学書院

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