治療 106巻11号 (2024年11月発行)

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特集　不定愁訴を診る！あなたはどうしていますか？

巻頭言鈴木　富雄 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1233-1233

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不定愁訴診療の内実と拡張鈴木　富雄 , 國松　淳和 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1246-1254

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総合診療の立場から総論的に宮田　靖志 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1255-1261

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Point

・「不定愁訴」という用語は使わないようにしよう．

・ MUSは診断名ではなく，医療者の謙虚な姿勢を示す作業仮説としての用語と考えよう．

・医学の不確実性・あいまいさに耐える方法を身につけよう．

・本当にMUSとしてよいのか，心理社会的な背景を探ると同時に，身体疾患を診断するためのさまざまな方法を探ろう．

・治療することに前のめりになりすぎず，ケアに焦点を当てていこう．

・ネガティブ・ケイパビリティが役に立つだろう．

解決困難な不明熱・不定愁訴の患者の紹介を受ける立場から國松　淳和 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1262-1265

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Point

・患者の成す「不定愁訴」は，要素に還元して分析する対象ではなく，患者が発している「つらさ」のメタメッセージであると捉えるべきである．

・困り果てた患者ほど，医師と常識的な会話が交わされて来ていない．

・どんな症状かではなく「どんな人か」を見定め，それに沿うように接していれば愁訴が問題ではなくなることが多い．

・自分の個人的な意見を，患者に伝えることが重要である．

プライマリ・ケア現場の家庭医の立場から菊池　徹哉 , 藤沼　康樹 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1266-1269

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Point

・不定愁訴は診断が困難な症状群で，対応に苦慮するケースが多い．

・診断の必要性を慎重に判断し，過剰な医療化を避けることが重要である．

・ Flipped Consultationでは社会・心理的視点を優先し，診療を進めることが有用．

・マインドフル・プラクティスを実践し，“心の一致”を体現する．

・患者の苦悩を理解し，信頼関係を築くことで回復が期待できる．

EBM実践の限界の果てに，一言言いたい立場から名郷　直樹 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1270-1275

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Point

・ EBM実践の限界という点で「不定愁訴」に特別な点は見当たらない．

・症状はすべて原因があると考えるのは現実的でない．

・調べれば何でも解決すると思うのは現実的でない．

・生きるうえでの問題の多くは解決しない．

・医療の問題もそのうちの一部に過ぎない．

・解決しない問題を抱えて生きていくというのが生きることである．

心療内科医の立場から西山　順滋 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1276-1279

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Point

・心身症と機能性身体症候群を理解する．

・機能性身体症候群における「患者の評価」，「段階的ケア」を活用する．

・基本的な心身医学的アプローチとは．

精神科医の立場から児玉　知之 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1280-1284

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Point

・不定愁訴の「診断」は何となく行わない．しかるべき手順を踏むべし．

・器質性疾患除外→不定愁訴に特徴的な性質の確認　の順で不定愁訴認定を．

リエゾン精神看護専門看護師の立場から宮田　郁 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1285-1289

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Point

・「不定愁訴」と思われる症状によって生じる苦痛を理解する．

・「不定愁訴」だと思われる症状には，身体疾患や精神疾患の可能性を秘めている．

・「不定愁訴」が生じる背景を含めた丁寧なアセスメントが重要である．

小児科医の立場から高村　昭輝 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1290-1294

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Point

・語彙力の問題もあり，訴えが不定愁訴になりやすいことに注意する．

・年齢と発達，社会環境変化が刻々と変化していくことを考慮する．

・保護者の言い分と本人の言い分のそれぞれを尊重して対応する．

・器質的疾患は年齢によらず，しっかりと除外する．

産婦人科医・女性医療の立場から池田　裕美枝 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1295-1299

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Point

・不定愁訴は女性に多い．

・女性の不定愁訴は，経済全体にも影響する社会的課題である．

・不定愁訴は月経前症候群（premenstrual syndrome：PMS）や更年期症候群といった女性ホルモン関連疾患であることがある．

・不定愁訴にジェンダーバイアスからの社会的因子が影響している場合も少なくない．

口腔・歯科領域の立場から宮地　英雄 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1300-1303

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Point

・口腔領域は，その部位，特徴から，不定愁訴の出やすい領域である．

・「感覚」に注目した評価，対応がポイントとなる．

慢性疲労の専門家の立場から佐藤　元紀 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1304-1309

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Point

・疲労を訴える患者では，まず生理的疲労か病的疲労かを判断する．

・疲労を手がかりとした診断推論をできるだけ避ける．可能な限り随伴症状，服薬歴，既往症などを手がかりとした診断を試みる．

漢方医の立場から大澤　稔 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1310-1314

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Point

・西洋医学的検査で異常がなくても，気血水の異常は存在し得る．

・場所の動かない“しびれ・痛み”は血の異常（血虚・血滞）を疑う．

・悪天候で惹起される“中枢・末梢神経症状”は水の異常（水滞）を疑う．

・消化管に沿って惹起される“詰まり・張り症状”は気の異常（気滞）を疑う．

・自律神経調節障害は苓桂朮甘湯で気，血，水の全身への循環能（運送能）を改善．

鍼灸師の立場から寺澤　佳洋 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1315-1319

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Point

・鍼灸師と総合診療医の近似性に目を向け，連携の可能性を考える．

・鍼灸の世界を少し覗いてみると，診療の幅を広げるヒントが得られる可能性がある．

・地元の鍼灸師や鍼灸院と連携することにより，大きな成果が得られるかもしれない．

統合ヘルスケア（統合医療）の立場から伊藤　京子 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1320-1324

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Point

・統合ヘルスケアは，多職種連携で心身が生来もつ治癒能力をサポートする．

・不定愁訴への対応としてHPA軸機能障害にアプローチする考え方がある．

不定愁訴のない社会磯野　真穂 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1325-1328

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Point

・狩猟採集民の世界に不定愁訴は存在しない．

・狩猟採集民は薬草による治療のほかに，もう1つの治療体系をもつ．

連載

「食べられる可能性」を見極めるフローチャートを作りました！永井　康徳 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1238-1239

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ベンゾジアゼピン系薬剤の不適切処方にどう対応したらよいですか？青島　周一 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1240-1242,1338-1339

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　ベンゾジアゼピン系薬剤（BzD）は，不眠が身近な健康問題であること，そして患者が薬効を実感しやすいことから，プライマリ・ケアでも処方頻度の高い薬剤の一つである．一方で，同薬には常用量依存や潜在的な有害事象のリスクが懸念され，近年では積極的な減処方の対象として注目を集めている．今回は，BzDの減処方や不適切処方の是正に関する介入効果を検討した主要なランダム化比較試験（RCT）を時系列で紹介する．

⼼不全を考える─その① ⼭⼝　裕崇 , 川上　将司 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1340-1343

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　循環器診療では「ろす（LOS）」，「へふれふ（HFrEF）」，「へふぺふ（HFpEF）」など，難しい言葉や略語がたくさん．外来で，病棟で，カンファレンスで，⼼不全に関係した医学⽤語が⾶び交うなか，循環器内科の先⽣たちの話についていくのがやっと．何とか意味はわかるけれども，それをどう実践につなげていくか，試⾏錯誤の⽇々を送っている若⼿医師はきっと少なくないはず．そこで日常臨床での循環器領域の疑問をショウジ先⽣に聞いてみた！

肺炎後の超高齢者，死の淵からの生還橋本　進一 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1346-1353

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高齢者の摂食困難・衰弱の考え方のポイント

▶ 食べられなくなり，衰弱していく高齢者は脾の力の低下（脾気虚）に陥っている可能性が高い．

▶ 高齢者では脾気虚のみならず，それに伴う栄養不良（血虚）が存在する．

▶ このような場合，治療は気血双補が必要となり，補気としては人参・黄耆（参耆剤）が，補血としては地黄・当帰・芍薬・川芎（四物湯）が重要生薬となる．

▶ 生命といえば腎虚の改善も必要になるが，まずは消化機能を立て直すことを考える．

子宮頸がんの増加とHPVワクチン岡田　悟 , 細川　裕司 , 原田　拓 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1354-1358

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たんぽぽ先生の在宅報酬ドリル2024-2025年度版 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1331-1331

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目次 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1234-1235

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バックナンバー 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1236-1237

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クイック目次 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1245-1245

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奥付 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1360-1360

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次号予告 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1361-1361

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告知 106巻11号 , 2024年11月 , pp.1243-1243

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治療
106巻11号
(2024年11月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0022-5207 南山堂

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