Brain and Nerve 脳と神経 9巻2号 (1957年2月)

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  It is a great pleasure and privilege to speak before this distinguished audience at a famous university so far situated from my own in Stockholm.

  Ever since Hippocratus and Plato assigned thought and feeling to the brain, this organ had been the subject of speculations by scientists. But brain research did not come into existence until the methods of natural science-unbiased observation, description and experiments-had broken through in the 19th century. Comparison between brains of animals and men showed that the most striking difference was to be found in the enormous growth of the frontal lobes. In the dog the frontal lobes represent 7% of the total surface of the brain, in the chimpanzee 17%, while in men it represents no less than 29%.

綜説

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 脳水腫の外科的療法は古くから多数試みられて来た。しかも現在尚次々と新しい方法が考案されつゝある。このことはとりもなおさず脳水腫の外科的療法の困難性と不確実性とを物語るに他ならないのであつて,実際脳神経外科医の最も頭を悩ますものの一つである。今数多くの業績を振返つて見ると,根治手術可能な所謂Neoplasmによる二次的脳水腫以外の脳水腫ではその永久治癒をもたらすことはまだまだ困難な様である。殊に先天性の急速に進行する脳水腫では,之を根治せしむることは極めて困難と云い得よう。

 吾々が現在まで経験した症例は第1表の如く36例39回の手術に過ぎず外国のそれと比較して未だ甚だ少い。しかも欧米諸家の考案した方法のすべてを試みたわけでもない。然し吾々なりに種々の方法を追試し,工夫し,更に中田教授により2〜3の新しい方法も考案され試みられて来たのであつて,今之等の経験からこの治癒困難な脳水腫の外科的療法に対する若干の批判を述べ,又吾々の見解を提起するのも無駄ではないと思うのである。

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〔I〕まえがき

 脳腫瘍診断の一つの角度として,多くの先人の取扱つた症例についての統計的考察が大切な基礎的知識であることはいうまでもないことであつて既に多くの報告が,この様な立場からなされている。

 私共も此度,昭和3年開講以来,昭和29年末迄の27年間に北海道大学精神神経科に入院して検査治療の結果脳腫瘍と診断された病歴227の中,統計的調査に耐えうると考えられたもの171につき,臨床的及び組織病理学的の観点から統計的考察を行ない,従来諸家の結果と比較を試みた。

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 脊髄出血は脳出血に比し,その発生頻度が少なく,しかもその殆んどが外傷に依り,特発性に起る場合は甚だ稀である。著者は最近頸髄上部の脊髄炎症候群を呈して入院,死後剖検によつて頸髄内血管腫の特発性破綻による脊髄出血であることを確認出来た1例を経験したので茲に報告する。

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はしがき

 癲癇に対しては従来から各種の手術が試みられて居り,その効果に関する報告も少くない。しかもその多くは痙攣発作を対象として行われて居り,従来,特に好成績を得たものは甚だ少いようである。又最近では所謂temporal lobe epilepsyに対し側頭葉手術を行うようになり,その報告も,Bailey, Penfieldを初めとしてかなり多数に上つている。我国に於いては白木,佐野,渡辺氏らの側頭葉切除の報告があり,又これらと異つた方法で田中,松井氏の側頭葉白質切截術の報告もなされている。

 我々は従来の方法とは別個に,前頭葉白質切截術と殆んど同様に容易,且つ安全に施行し得る手術術式を考案した。そしてこの手術を癲癇5例,精神分裂病6例,計11例の患者に就き施行し,有益な知見を得たのでその結果に就き報告する。

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 「精神病に対する化学療法」或いは「薬物的ロボトミー」等と称せられるChlorpromazineの精神科領域における応用は我国でも最近いよいよ盛になつてきた。殊に精神運動興奮,或いは情動緊張の著しい例に用いて相当の成果を挙げている。また新鮮且活溌な病像に対する治療効果の検討も既に多数試みられている。しかし人格荒廃の著しい分裂病,殊に動きに乏しい陳旧例に本剤が如何なる影響を及ぼすか,この観察を試みた者の数は少ない。

 私が治療の対象とした分裂病者たちは,10年患者といわれる,陳旧にして荒廃した症例であるが特に,1)自発性,2)接触性の2点において重篤な人格欠陥を示すもののみが選ばれた。本報告において私は,この二つの人格欠陥に対するChlor—promazineの効果を考察してみようと思う。Chlorpromazineとしては吉富製薬から提供を受けた同社製のContominを用いた。

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III.グリアの病変

 1.グリアの正常組織学

 グリアは中枢神経に特有の,外胚葉性間質組織である。グリア細胞とグリア線維とから成る。

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欧米視察談 内村 祐之
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 (拍手)近ごろは欧米に行く方がたくさんあります。従つて視察談というのは,皆様ももう聞きあきるくらい聞いておいでのことと存じますが,御希望により,一応私の旅行の話を申上げ,なお後で幻灯をすこしお目にかけたいと思います。

 私が今度まいりましたのは主としてドイツでありまして,ことにMünchen大学で催されたEmil Kraepelinの生誕百年記念会に出席するのがおもな目的でありました。しかし同時に,ドイツの政府からすこしドイツの大学を見てくれという申し出がありましたので,1ヵ月あまり西ドイツのおもだつた10大学を見まして,戦後のドイツの精神医学,あるいは神経学の事情をいろいろ知ることにつとめました。

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 1956年3月22日の午後1時少し前,私は第一ホテルのロビーで,周囲を動き廻る外国人達の中から私がこれから会見しようとする人物を見付け出そうとしていた。約束の1時,私がフロントの前に立つと後ろ向きの6尺をはるかに越えた長身の制服姿が振り向いた。私は直観的にこの人だと思つたので近寄つてみると,左上膊の外側のところにSWEDENと刺繍がある。私がAre you Dr. Rylander?と問うのと,先方がDr. Hirose?と口を切るのと殆んど同時であつたように思う。2人はそこで初対面の感激的な握手を交したのである。飴色の髪,物柔らかな眼差し,どつしりと落ちついたこの精神医学者は,挨拶を交すと腰を下す暇も与えず,早速,『si—ghtseeingに出かけよう』といつて私を驚かせた。この驚くべき旺盛なエネルギーは,その後の10回を越える会見の都度感心させられたが,彼の過去の業績もさこそと偲ばれた。

 Rylander教授との女通は,1952年私が小著『ロボトミー』を送つた時にはじまるが,思いがけなくも本年1月の便りに,3月から4ヵ月余り,朝鮮にあるSwedishRed Cross HospitalのCommanding Officerとして赴任する道すがら東京へ立寄る旨の書簡を頂いた。

あとがき
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 本号は巻頭にStockholmのGösta Rylander教授の特別寄稿を掲げた。Rylander教授の滞日中の動静については広瀬貞雄博士が一文をものされているから参照されたい。極めてエネルギツシユに,しかも鋭い洞察眼で日本の現状を見て帰られたようである。

 München大学で開かれたKraepelinの生誕百年記念会に出席された内村教授の「欧米視察談」のなかには都合12回の講演を行うことになつた負担の重い旅行のことが記されている。短期間の海外旅行の間にぎつしりつまつたスケジユールをかたずけてゆくのには語学の占める位置が大きい。語学が自在であつたら,海外旅行もそう負担にならないであろう。外人の場合は日本に来ても日本語を喋らなくてもよいから日本人が海外へ出かけた場合とは,その点だけでも差違があろう。Rylander教授は英,独語を自在にあやつつていたが,いかにも楽しい気さくな旅行のようであつた。惠まれた豊な自由の国の学者であるような考え方をふんだんにひらめかせていた。

基本情報

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Brain and Nerve 脳と神経
9巻2号 (1957年2月)
電子版ISSN:2185-405X 印刷版ISSN:0006-8969 医学書院

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