Japanese
English
総説
右半球損傷による構成失行
Constructional Apraxia in Right Brain-damaged Patients
平林 一
1
,
稲木 康一郎
1
,
平林 順子
2
,
伊沢 真
3
,
市川 英彦
4
Hajime Hirabayashi
1
,
Koichiro Inaki
1
,
Junko Hirabayashi
2
,
Makoto Izawa
3
,
Hidehiko Ichikawa
4
1リハビリテーションセンター鹿教湯病院臨床心理科
2リハビリテーションセンター鹿教湯病院言語療法科
3リハビリテーションセンター鹿教湯病院神経内科
4リハビリテーションセンター鹿教湯病院内科
1Department of Clinical Psychology, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
2Department of Speech Therapy, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
3Department Neurology, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
4Department of Internal Medicine, Kakeyu Hospital Rehabilitation Center
キーワード:
constructional apraxia
,
right brain injured
,
assessment
,
mechanism
,
rehabilitation
Keyword:
constructional apraxia
,
right brain injured
,
assessment
,
mechanism
,
rehabilitation
pp.969-975
発行日 1997年11月1日
Published Date 1997/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406901188
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はじめに
構成行為の障害は,Kleist19)によって,その研究史の先駆けとなる病状の詳細が報告され,彼はこれを左半球の頭頂葉後部損傷によって生じる症状のひとつと考えた。しかしその後,PatersonとZangwill33)により,右半球損傷によっても類似の症状が出現することが指摘され,現在では,左右半球のいずれの損傷でも構成行為の障害が生じることが定説となっている。
Kleistは,この症状の呼び名として「構成失行」という名称を用い,個々の運動には失行がないのに,構成的作業を行うと空間的形態に誤りが生じる症状と定義した。彼は,構成失行の背景に,視覚や運動それ自体の障害ではなく,その統合機能の崩壊を想定しているが,以降の研究では,構成失行の概念がKleistが考えたものよりも拡大し,その中に視知覚の障害に起因するものも含めるのが一般的になっている。またその名称についても,構成失行という言葉のかわりに,構成作業の困難さを広く意味する「構成障害」という用語が用いられている場合が少なくない20)。
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