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Ⅰ 行動活性化療法とは
認知処理療法(Cognitive Processing Therapy : CPT)を悲嘆に応用するというのが本項の主題である。まず,今回対象とする「悲嘆」について簡単に触れる。精神科領域において悲嘆が疾患なのかという議論は長く行われてきた(Cacciatore & Francis, 2022)。親しい者との死別に伴う反応を病理化することについて,Cacciatoreらは次のように批判する。
「悲しみを病理化することは,愛情深い関係の尊厳を侮辱するものであり,悲嘆に暮れる人々を精神疾患と断定し,状況を考慮することなく,持続的な症状を治療するために抗うつ薬やその他の薬剤を軽率に処方してしまうことにつながりかねない。抗うつ薬の処方が最も多いプライマリケアにおいて,悲しみに対する精神科薬剤の誤用は特に問題となる」
このような批判もある中で,ICD-11(World Health Organization, 2024),そしてDSM-5-TR(American Psychiatric Association, 2022)の両者において遷延性悲嘆症(Prolonged Grief Disorder : PGD)が疾患名として所収されている。その詳細については本特集の別項で触れられているので省略するが,CPTのような心的外傷後ストレス症(Posttraumatic Stress Disorder : PTSD)に用いるトラウマ焦点化治療を応用するという場合には,一般的な悲嘆反応全体を指すのではなく,PGDのように疾患として認識できる状態を前提とするのが基本であると考える。しかしながら,当然PGDの診断基準には該当しないが心身の苦痛を感じている閾値下の事例は存在しているので,そのような事例も念頭に置いて論を進める。

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