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特集 悲嘆の精神療法
悲嘆のアセスメントと診断基準
伊藤 正哉
1
1兵庫県こころのケアセンター研究部
pp.313-317
発行日 2026年6月5日
Published Date 2026/6/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt52030313
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Ⅰ 悲嘆を理解する,とは?
悲嘆のアセスメントでまず知りたいのは,眼前の人に支援が必要なのかという点だろう。その判断において遷延性悲嘆症(Prolonged Grief Disorder : PGD)の診断基準は必須の知識となる。ただし,悲嘆のありようや現れ方は人それぞれであり,診断基準に該当するか否かに注目するあまり,当人の状態理解がおろそかになってはならない。悲嘆の理解とは,その人にとっての死別の意味合いの理解でもある。本人の現在の心理状態や社会状況だけでなく,故人との関係性を理解する必要がある。故人がいかにかけがえのない存在であったか,その生きられた関わりを理解しようとすることが,悲嘆の評価の出発点になる。
悲嘆は,死別直後の急性悲嘆として強い波のように押し寄せ,時間とともに痛みが薄れながらも,故人の記憶や愛着はかたちを変えて生活に統合されていくのが一般的な経過である。この統合過程が進みにくく,強い思慕やとらわれ,情緒的痛みが長期化し,生活機能が戻らない状態がPGDとして捉えられる。

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