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はじめに
肺サーファクタントは肺胞Ⅱ型上皮細胞で合成・蓄積・分泌される表面活性物質で,肺胞内面をおおう薄い膜である肺胞被覆層と肺胞気の境界にある気液界面に吸着・拡散して表面活性を発揮する。この表面活性により表面張力が打ち消されることで,肺胞の虚脱を防ぐ役割を果たしている。早産児では肺サーファクタントの産生が不十分であり,一時的には肺胞が拡張しても,肺胞の虚脱を防ぐのに十分なサーファクタントは不足しているため,進行性に肺胞の拡張不全をきたす。発症予知に有用なマイクロバブルテストを行わない場合には,出生直後は呼吸窮迫症候がなくても,その後に呼吸窮迫症候群を発症していないか,注意深く観察する必要がある。なお,未治療の場合,生後48~72時間頃には児の肺サーファクタントの産生が開始され,自然に軽快する病態であるが,それまでに投与される高濃度酸素や高換気条件の人工呼吸器による肺損傷,気胸,頭蓋内出血などから児の予後は不良となる。これらの合併症は,診断後速やかに肺サーファクタントを投与することで減少することが知られている。また,生後2時間以内の肺サーファクタント投与は,生後2時間以降に投与した群と比較し,死亡率や気胸,間質性肺気腫,修正36週時の慢性肺疾患リスクを減少させる1)。周産期医療の質と安全の向上のための研究(INTACT)の「根拠に基づく標準的治療の考え方」では,出生後すぐに予防的投与を行うか,あるいは,できるだけ早期(30分以内)に選択的投与を行うことが推奨されている2)。一方,肺サーファクタントが欠乏していない場合にサーファクタントを投与しても吸収されないため,一時的に過剰な高濃度酸素や高換気条件が必要になる可能性がある。28週未満で出生したすべての超早産児が呼吸窮迫症候群を発症するわけではないため,未診断のまま投与する場合には投与後の呼吸状態に注意が必要である。実臨床においては,経皮的酸素飽和度(SpO2)を90%以上に保つために吸入酸素濃度(FIO2)が0.3以上や平均気道内圧を6 cmH2O以上に持続させるなどの客観的指標や,胸部X線所見,マイクロバブルテストなどにより診断したあとに投与することが望ましい。

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