特集 リカバリーを目指す認知療法(CT-R)を実臨床で生かす
演劇で自分と社会を変える患者たち
佐藤 光展
1
1OUTBACKプロジェクト
pp.489-490
発行日 2025年8月5日
Published Date 2025/8/5
DOI https://doi.org/10.69291/pt51040489
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はじめに
「表現する,発信する,そして元気になる」を合言葉に,メンタル不調を抱える人たちを対象とした演劇スクール「OUTBACKアクターズスクール」を横浜で開校して今年(2025年)で5年目になる。
最初は表情に乏しくヨロヨロしていた人たちが,自らの経験を織り込んだ作品づくりに関わるうちに生気と自分を取り戻していく。そして本番の舞台でも,演劇というフィクションの中で,ノンフィクションのリカバリーが同時に展開されていく。これがプロにも真似できないOUTBACKアクターズスクールの最大の魅力であり,観る人たちの思いも変えていく。
管理やヒエラルキーがもれなく付いてくる医療や福祉の枠ではなく,「やりたい」という意志とワクワク感で参加者全員がつながる平場の組織だからこそ,できることがたくさんある。「無理をさせない」福祉ものではなく,有料公演に恥じない作品づくりを目指す方向性は開校当初から注目を集め,神奈川県や横浜市から継続的な支援を受けてきた。
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