焦点 続・痴呆性老人の看護に関する研究
研究
施設に入所している痴呆高齢者に対する演劇療法
森山 美知子
1
,
鎌田 ケイ子
2
,
櫻井 紀子
3
1山口県立大学看護学部
2東京都老人総合研究所
3特別養護老人ホームさくばらホーム
pp.285-295
発行日 1996年8月15日
Published Date 1996/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681900352
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はじめに
痴呆は症候学的診断であり,その基礎疾患としてアルツハイマー型の脳の萎縮性変化や脳血管障害などが主として存在する。痴呆患者は,高次脳機能に障害をきたし,記憶,言語,認知,動作の構成,抽象化能力,注意,判断などの知的機能に障害をきたす。そのため,状況に対する適切な判断や対処が行なえず,自己の中に容易に混乱を来し,それが結果として問題行動として表出されやすい。
痴呆は,脳のさまざまな機能が障害されるため,そのリハビリテーションは多面的・包括的アプローチが必要となってくる。われわれが行なった全国実態調査26)においても,痴呆高齢者を入居させている多くの特別養護老人ホームや老人保健施設,痴呆疾患治療棟では,実にさまざまなアクティビティケアが痴呆高齢者に対して行なわれていた。しかし,同時に,介護力強化病棟などの医療施設においては,依然として痴呆高齢者の異常行動に焦点があてられ,その治療も薬物や抑制といった消極的なものや問題行動を修正するための行動的アプローチが中心に行なわれていることが明らかになった。
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