特集 みんなのCBT――社会実装の未来とニュー・フロンティア
エビデンス主義精神療法の功罪
藤澤 大介
pp.132-136
発行日 2026年3月10日
Published Date 2026/3/10
DOI https://doi.org/10.69291/cp26020132
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I “エビデンス主義精神療法”への違和感
“エビデンス主義精神療法の功罪”という本稿のタイトルは,編集部の依頼をそのまま使用したものである。筆者はタイトルに違和感を覚えているが,このタイトルに興味を持った読者にこそ読んでいただく価値がある気がして,あえてこのタイトルを用いることとした。
違和感の第一の理由は,本号の巻頭に本稿が配置されていることである。認知行動療法はどうやら,エビデンス主義の精神療法の典型と考えられているようだ。認知行動療法がエビデンスの裏付けが強い精神療法であることは否定しないが,認知行動療法がエビデンス主義なわけではない。エビデンス主義の意味を「エビデンスを重要視する立場」と理解するならば,認知行動療法に限らず,すべての精神療法が(さらに言うと,すべての治療が)エビデンス主義であり,すべての精神療法家はエビデンス主義者であるべきである。その理由は次節で説明する。
違和感の第二の理由は,功罪という言葉である。どうやらエビデンス主義には“罪”(=問題)があると考えられているらしい。“エビデンス至上主義”には問題があるが,“エビデンス主義”に問題があるようには思えない。両者の違いは,「エビデンスに基づいた臨床実践とは」の節で解説する。

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