特集 虚血性心疾患
セミナー 臨床医が知るべき虚血性心疾患の病態と診断
血管内イメージングで虚血性心疾患を診断する ─IVUS/OCT/NIRS─
植木 康志
1
1信州大学医学部附属病院循環器内科
キーワード:
▶血管内イメージング(IVUS,OCT)はPCIのガイダンスに用いられることが多いが,責任病変の同定,血行再建の適応判断,病変不安定性の評価においても有用である.
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▶MINOCA患者では,血管内イメージングを含むさまざまなモダリティを用いて確定診断を行うことが推奨されている.
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▶血管内イメージングは急性冠症候群の原因疾患の鑑別(動脈硬化性 vs. 非動脈硬化性)に有用である.
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▶血管内イメージングを用いた血行再建の適応判断は,左主幹部病変においてガイドラインで推奨されている.
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▶血管内イメージングにより同定された不安定プラークは将来の心血管イベントの強力な予後予測因子である.
Keyword:
▶血管内イメージング(IVUS,OCT)はPCIのガイダンスに用いられることが多いが,責任病変の同定,血行再建の適応判断,病変不安定性の評価においても有用である.
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▶MINOCA患者では,血管内イメージングを含むさまざまなモダリティを用いて確定診断を行うことが推奨されている.
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▶血管内イメージングは急性冠症候群の原因疾患の鑑別(動脈硬化性 vs. 非動脈硬化性)に有用である.
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▶血管内イメージングを用いた血行再建の適応判断は,左主幹部病変においてガイドラインで推奨されている.
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▶血管内イメージングにより同定された不安定プラークは将来の心血管イベントの強力な予後予測因子である.
pp.1538-1543
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.10_015
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はじめに
血管内イメージングは,血管内の高精細な画像を基に動脈硬化の詳細な評価を可能とし,冠動脈疾患の病態解明や経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)の治療ガイダンスにおいて重要な役割を担ってきた.日常診療においては,血管内超音波intravascular ultrasound(IVUS)や光干渉断層映像optical coherence tomography(OCT)が主に使用されている(図1).IVUSは超音波を用いたイメージングモダリティであり,深達度が高く血管内膜から外周まで広範囲にスキャンすることが可能であり,血管径やプラーク分布の評価に有用である.また,OCTは近赤外線を用いたモダリティで,IVUSと比較し深達度が低いため血管径の評価が困難な場合があるが,高い画像分解能(10~20μm)を有しており,プラーク破綻や留置したステントなどの微細な所見を評価することが可能である.PCI時には,プラーク性状の評価やステントサイズの決定,ステント留置後の拡張や圧着の評価に用いられ,血管内イメージングを用いたPCIは血管造影のみで行われたPCIと比較し良好な予後が得られることが過去のメタ解析でも証明されており1),欧州心臓病学会の診療ガイドラインでも推奨(Class I)されている2).このように血管内イメージングはPCIの最適化に用いられることが多いが,責任病変の同定,血行再建の適応判断,病変不安定性の評価など,PCI以外の状況においても有用であることが知られている.

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