Japanese
English
綜説
血管内イメージングの最前線
Vascular Imaging Update
福田 大受
1
,
相川 眞範
1
Daiju Fukuda
1
,
Masanori Aikawa
1
1ハーバード大学医学部ブリガムアンドウィメンズ病院循環器科
1Center for Excellence in Vascular Biology, Cardiovascular Medicine, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School
pp.1249-1259
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101597
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
動脈硬化を基盤とする心血管疾患は世界中で増加の一途をたどっている.近年では,atherothrombosisと総称される,動脈硬化プラークの破綻に引き続く血栓形成と,それによる血管閉塞によって生じる病態が重要視されている.血栓性の急性合併症は,生命やquality of life(QOL)に関わる重大イベントにつながることが多く,再発や他の部位での発症の可能性も高い.よって,血栓性合併症が発生する前に診断し,予防することが求められる.しかし,動脈硬化プラークの不安定化と破綻は,血管の狭窄度ではなく,病変の性状に関係して発生するため,臓器虚血をスクリーニングするために従来行われてきた運動負荷や血管内腔を描出する血管造影は,プラークの「質と量」を評価する手段として必ずしも有効ではない.このプラークの「質と量」を評価し,不安定プラークを発見するため,血管の内側から病変を直接観察しようとする試みが血管内イメージングである.さらに,vascular biologyの進歩により,動脈硬化性疾患の発症・進展に炎症が関与することが明らかとなり,これを画像化するためのmolecular imagingが注目されている.より詳細に生体内での炎症に関連するbiological processを明らかにするため,このmolecular imagingを血管内イメージングに応用する技術が期待されている.
本稿では,動脈硬化病変の不安定化のメカニズムと,血管内イメージングの現状と今後の展望について概説する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.