特集 虚血性心疾患
セミナー 臨床医が知るべき虚血性心疾患の病態と診断
カテーテル検査で虚血性心疾患を診断する ─プレッシャーワイヤーによる検査─
割澤 高行
1
1NTT東日本関東病院循環器内科
キーワード:
▶冠動脈疾患の診断は解剖学的評価のみではなく,機能的評価を行うことが重要である.
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▶中等度狭窄においてはプレッシャーワイヤーで虚血の有無と重症度を評価し,血行再建適応を判断する.
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▶冠攣縮を疑う症状があれば,カテーテル検査で冠攣縮誘発試験を行う.
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▶冠攣縮誘発試験が陰性でも,実際には冠攣縮を原因として狭心症を呈する患者がいることに注意する.
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▶カテーテル室では,プレッシャー・温度ワイヤーを用いて冠微小循環障害の評価が可能である.
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▶冠微小循環の評価については,今後のエビデンス次第で可変なものであることにも注意する.
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▶包括的冠動脈検査は,患者の心筋虚血の複合的機序を解き明かすために有用である.
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▶器質的狭窄・冠攣縮・冠微小循環障害の,心筋虚血への寄与度を踏まえて治療戦略を立てる.
Keyword:
▶冠動脈疾患の診断は解剖学的評価のみではなく,機能的評価を行うことが重要である.
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▶中等度狭窄においてはプレッシャーワイヤーで虚血の有無と重症度を評価し,血行再建適応を判断する.
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▶冠攣縮を疑う症状があれば,カテーテル検査で冠攣縮誘発試験を行う.
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▶冠攣縮誘発試験が陰性でも,実際には冠攣縮を原因として狭心症を呈する患者がいることに注意する.
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▶カテーテル室では,プレッシャー・温度ワイヤーを用いて冠微小循環障害の評価が可能である.
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▶冠微小循環の評価については,今後のエビデンス次第で可変なものであることにも注意する.
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▶包括的冠動脈検査は,患者の心筋虚血の複合的機序を解き明かすために有用である.
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▶器質的狭窄・冠攣縮・冠微小循環障害の,心筋虚血への寄与度を踏まえて治療戦略を立てる.
pp.1532-1537
発行日 2025年10月1日
Published Date 2025/10/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.10_014
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はじめに
以前は,カテーテル室で行われる冠動脈造影検査coronary angiography(CAG)といえば,冠動脈の狭窄の有無と狭窄の程度とを,見た目で判断するだけの単純な検査であった.これは,冠動脈の見た目の重症度が,虚血性心疾患の重症度と一致していると信じられていたからに他ならない.また,本特集で詳しく扱われている冠攣縮や冠微小循環障害といった病態が軽んじられていたことも大きく影響していたであろう.一方で,現代におけるカテーテル検査は,「冠動脈のどこに,どのような機序の,どの程度の重症度の病があるか」を明らかにすることが求められており,実際の手技,および,解釈が複雑化している.本稿では,カテーテル検査を通して,われわれが何を知り,それを診断・治療に活かしているか,を述べたい.臨床像としては,主に慢性冠症候群を想定しているものとして読んで頂きたい.

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