- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
冠攣縮性狭心症(CSA/VSA)と冠微小循環障害(CMD),そして冠動脈狭窄を伴わない心筋虚血(INOCA)
狭心症は,心筋を栄養する冠動脈の異常によって心筋虚血を生じ,胸痛・動悸・息切れなどの諸症状をきたす疾患である.冠動脈壁の動脈硬化による器質的狭窄によって引き起こされることが知られているが,冠動脈に器質的な狭窄を伴わないにもかかわらず,心筋虚血・狭心症が起きることが知られており,INOCA(ischemia with non-obstructive coronary artery disease)と呼ばれている.そして,冠攣縮性狭心症coronary spastic angina(CSA)/vasospastic angina(VSA)と冠微小循環障害coronary microvascular dysfunction(CMD)がINOCAの二大成因である.「冠動脈に狭窄のない狭心症」をみたときにINOCAと認識し,CSA/VSAとCMDの鑑別を行っていくことの重要性が,日本循環器学会(JCS),欧州心臓病学会(ESC)ならびに米国心臓協会(AHA)のガイドラインで強調されている1~3).CSA/VSAの診断と治療において,わが国は世界を大きくリードしてきた歴史があり,同疾患は循環器内科医のみならず,多くの領域の医師,医療関係者に認知されている.一方でCMDについては,CSA/VSAほど広くは認知されていないのではないかと思われる.本稿では,CSA/VSAとCMDそれぞれの病態・診断・治療について要約すると同時に,実臨床でどのような対応を行っていくのか,上記ガイドラインを踏まえながらレビューする.

Copyright © 2025 Bunkodo Co.,Ltd. All Rights Reserved.