Japanese
English
特集 冠攣縮性狭心症
冠攣縮性狭心症の診断
Diagnosis in Patients with Vasospastic Angina
末田 章三
1
,
河野 浩明
1
,
坂上 智城
1
Shozo Sueda
1
,
Hiroaki Kohno
1
,
Tomoki Sakagami
1
1愛媛県立新居浜病院循環器科
1Department of Cardiology, Ehime Prefectural Niihama Hospital
pp.21-30
発行日 2011年1月15日
Published Date 2011/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404101608
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はじめに
冠攣縮性狭心症は,われわれ日本人を含む東アジアに多く,欧米人の約3倍と報告されている1).冠攣縮性狭心症の最終診断は,冠動脈造影検査で,冠動脈の異常収縮を確認することであるが,心臓カテーテル検査時に自然発作による冠攣縮に遭遇することは比較的稀であり,薬剤を用いた冠攣縮誘発負荷試験が,臨床現場では必要になってくる.最近は,冠動脈造影検査と冠動脈インターベンション治療に多くの時間をとられ,冠攣縮診断に時間を割く施設が減少している.狭心症疑い症例に硝酸薬投与後の冠動脈造影検査のみ施行し,器質的冠動脈狭窄を認めない場合に冠攣縮を疑い,カルシウム拮抗薬を処方する施設も増えてきている.実際に,われわれが行った全国調査でも,回答を得た37%の施設が問題ないと回答している2).しかし,最終診断されなかった症例が服薬治療を継続するか否かに関してはやや疑問が残る.また,そういう症例のなかに非常に活動性の亢進した冠攣縮性狭心症が存在することも考えられ,その後に重篤なイベント発生や突然死を来す可能性も十分ある.
本稿は,小川久雄先生を班長として,2008年に日本循環器学会が策定した「冠攣縮性狭心症の診断と治療に関するガイドライン」を参考にしながら,実臨床に基づいた『冠攣縮性狭心症の診断』についてまとめた3).
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