特集 関節リウマチ
治療 関節リウマチ治療のポイント
JAK阻害薬の活用法と注意すべきポイント
中山田 真吾
1
1産業医科大学医学部第1内科学講座
キーワード:
JAK阻害薬の活用法と注意すべきポイント
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▶JAK阻害薬は,サイトカインシグナルを媒介するJAKを標的とする分子標的合成抗リウマチ薬である.
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▶JAK阻害薬は,経口内服可能な低分子化合物であり,bDMARDと同等ないしそれ以上の効果を有する.
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▶それぞれのJAK阻害薬には,代謝排泄経路やJAK阻害の選択性などに違いがある.
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▶JAK阻害薬は,MTX未使用例ないし効果不十分例,bDMARD効果不十分例のいずれに対しても有効である.
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▶JAK阻害薬の副作用として,重篤感染症,消化管穿孔,血栓症,貧血,白血球減少などに注意が必要である.
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▶bDMARDまたはJAK阻害薬の選択では,短期的治療ではTNF阻害薬とJAK阻害薬の有用性はほぼ同等だが,長期安全性,医療経済の観点からbDMARDを優先する.
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▶JAK阻害薬使用時には,悪性腫瘍,心血管イベント,血栓イベントのリスク因子を考慮する.
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▶JAK阻害薬投与前および投与中は,帯状疱疹に関する患者教育が大切であり,ワクチン接種も検討される.
Keyword:
JAK阻害薬の活用法と注意すべきポイント
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▶JAK阻害薬は,サイトカインシグナルを媒介するJAKを標的とする分子標的合成抗リウマチ薬である.
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▶JAK阻害薬は,経口内服可能な低分子化合物であり,bDMARDと同等ないしそれ以上の効果を有する.
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▶それぞれのJAK阻害薬には,代謝排泄経路やJAK阻害の選択性などに違いがある.
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▶JAK阻害薬は,MTX未使用例ないし効果不十分例,bDMARD効果不十分例のいずれに対しても有効である.
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▶JAK阻害薬の副作用として,重篤感染症,消化管穿孔,血栓症,貧血,白血球減少などに注意が必要である.
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▶bDMARDまたはJAK阻害薬の選択では,短期的治療ではTNF阻害薬とJAK阻害薬の有用性はほぼ同等だが,長期安全性,医療経済の観点からbDMARDを優先する.
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▶JAK阻害薬使用時には,悪性腫瘍,心血管イベント,血栓イベントのリスク因子を考慮する.
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▶JAK阻害薬投与前および投与中は,帯状疱疹に関する患者教育が大切であり,ワクチン接種も検討される.
pp.1243-1247
発行日 2025年8月1日
Published Date 2025/8/1
DOI https://doi.org/10.50936/mp.42.08_021
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はじめに
関節リウマチrheumatoid arthritis(RA)の治療では,メトトレキサート(MTX)などの従来型合成疾患修飾性抗リウマチ薬conventional synthetic disease-modifying antirheumatic drug(csDMARD),および,TNF-α,IL-6やT細胞共刺激分子などを標的とする生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬biologic DMARD(bDMARD)による早期からの適切な治療介入により,すべての患者で寛解を目指すことが目標となった.しかし,寛解に至るのは約6割程度であり,近年,複数の分子標的治療薬を用いても治療困難なdifficult-to-treat(D2T)RAが約1~2割に存在するなどのアンメット・メディカル・ニーズが提起されている1).

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