特集 炎症性腸疾患の分子標的治療を総括する
Ⅵ.JAK 阻害薬
櫻井 俊之
1
,
猿田 雅之
1
1東京慈恵会医科大学内科学講座消化器・肝臓内科
キーワード:
潰瘍性大腸炎
,
JAK/STATシグナル伝達経路
,
JAK阻害薬
,
トファシチニブ
,
帯状疱疹
,
血栓塞栓症
Keyword:
潰瘍性大腸炎
,
JAK/STATシグナル伝達経路
,
JAK阻害薬
,
トファシチニブ
,
帯状疱疹
,
血栓塞栓症
pp.279-284
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.19020/INT.0000000617
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炎症性腸疾患の病態には多数のサイトカインが関わり,細胞表面の受容体に結合して,細胞内のJAK/STATシグナル伝達経路を介して核内に刺激を伝導する.このサイトカイン受容体の細胞質内チロシンキナーゼ(Janus kinase;JAK)には4種類のサブタイプが存在し,これらの組み合わせにより誘導される作用が異なる.JAK阻害薬トファシチニブは,とくにJAK1とJAK3を強力に抑制し,各種炎症性サイトカインを抑えるため強い免疫抑制効果を発現する.本邦を含む国際共同試験により潰瘍性大腸炎に対する有効性が示されたが,帯状疱疹などの感染症の発現や,血栓塞栓症のリスク上昇も報告され,注意が必要である.
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