Japanese
English
今月の主題 骨髄増殖性疾患
話題
Jak2阻害剤
Jak2 inhibitors
尾崎 勝俊
1
Katsutoshi OZAKI
1
1自治医科大学内科学講座血液学部門
キーワード:
エリスロポエチン
,
Jak/Stat
,
恒常的活性化
,
チロシンキナーゼ
Keyword:
エリスロポエチン
,
Jak/Stat
,
恒常的活性化
,
チロシンキナーゼ
pp.299-303
発行日 2010年3月15日
Published Date 2010/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542102257
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1.分子標的薬グリベック®の成功
慢性骨髄増殖性疾患(chronic myeloproliferative disorders;CMPD)のうち,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia;CML)は早くからBcr-Ablという融合した異常チロシンキナーゼが原因と考えられていた.その根拠はほぼ100%に近い確率でこの異常が見つかるためである.チロシンキナーゼ(note参照)が細胞の増殖に必須であろうということはさらに前から知られていた.グリベック®はある米国の血液内科医が中心となって開発した画期的薬剤(Abl阻害剤)である.この薬は創薬の世界を活気づかせ,慢性骨随性白血病の予後を著しく改善し,治療を根底から覆した.この成功が分子標的薬の先駆けであり,金字塔になっている.
この稿では最近解明された真性多血症(polycythemia vera;PV)などその他の慢性骨髄増殖性疾患の分子メカニズムとその阻害薬に焦点を当て,解説していきたい.Jak2阻害剤の開発はグリベック®を抜きには語れないため,まず冒頭で紹介した(図1).
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