Transition & History
アルコール依存症治療の歴史を振り返る
齋藤 利和
1
1特定医療法人北仁会幹メンタルクリニック院長
pp.52-55
発行日 2016年2月10日
Published Date 2016/2/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.04.01_0052-0055
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「アルコール依存症患者を病院から解放する―「若気の至り」で飛び込んだアルコール医療―」私は1973年に札幌医科大学を卒業後、大学の医局には入局せずに、北海道で最も古い民間の精神病院である小樽市の特定医療法人北仁会石橋病院(現、いしばし病院)に就職し、主にアルコール依存症の治療に取り組んだ。なぜ、当時どこの病院でも厄介者であったアルコール依存症患者にかかわり始めたのかというと、それは私が酒飲みの家系に生まれたことが関係している。父母は酒を人生の友としてきた人であり、妹や弟もいけるくち、私も酒にめっぽう強かった。アルコール依存症患者の長期収容は、1970年に大熊一夫氏がアルコール依存症を装って精神病院に潜入して記した朝日新聞連載の「ルポ精神病棟」により明るみに出され、当時、大きな反響を呼んでいた。
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