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はじめに
介護保険制度が始まって新たにケアマネジャーという職種ができ,在宅サービスの利用者本人と密に関わるようになった。
そのような中で,利用者が何らかの精神疾患を持っているのではないだろうかと感じることが年々増えているように感じる。そこで当事業所では,どのくらいの利用者が精神疾患を持っているかについて調査を行なった。その結果は,全利用者数865名に対して,精神科を受診しているのは22名で,全体の約2.5%であった。そして,精神疾患の診断名がついているが精神科以外でフォローされている人,または診断名がついているが現在フォローされていない人は9名で,全体の約1%であった。このように,実際調べてみると意外と少ないことがわかる。
私は,在宅介護支援センターで6年間勤務し,介護保険の施行とともにケアマネジャーとして働き始め,5年目を迎えている。介護福祉士という職種と,在宅介護支援センターでの経験から,1人暮らし・高齢者世帯というケースに関わることが多い。その中で,アルコールの問題を抱えている利用者も少なくない。
アルコール依存という問題を解決することは難しい。また,解決するためには私たち第三者だけが頑張っても仕方がなく,本人や家族の協力が必要だと感じる。しかし,当事者たち(特に本人)は意外とアルコールを大きな問題とは捉えていないことが多いため,なかなか解決できないでいる。
今回は,まだ経過中のケースであるが,アルコール依存症患者であるSさんへの関わりについて振り返りたい。Sさんのケースは,アルコール依存症そのものへのアプローチが不十分だったこと,飲酒をする時・しない時の波があるにもかかわらず,そのリズムを短期間ではつかみきれなかったことから,予防にまで至らなかったケースであるが,自分自信の関わりの中から気がついたことをここで報告したい。
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