病気のはなし
アルコール依存症
樋口 進
1
1独立行政法人国立病院機構久里浜アルコール症センター
pp.1430-1436
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543102688
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サマリー
アルコール依存症(以下,ア症)は,強い飲酒欲求,飲酒のコントロール障害,離脱症状などの特徴をもった精神疾患である.治療の必要なア症患者はわが国に80万人,またア症の疑いは440万人程度存在すると推定されている.ア症は,肝障害,うつ病など60以上もの健康問題を引き起こしているだけでなく,飲酒運転,経済的損失などの社会問題の原因となっている.診断にはICD-10の診断ガイドラインが使用される.診断の補助として,γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-glutamyl transpeptidase,GGT)などの生化学マーカーや質問紙スクリーニングテストなどが使用されることがある.ア症は一度断酒していても,再飲酒により速やかにコントロールを逸した元の状態に戻ってしまう.そのため,治療の目標は断酒の達成と継続である.治療は専門医療機関が推奨される.
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