Visual View:基礎講座
アルコール依存症の基礎生物学 連載④ アルコール依存症の心理社会的影響
廣中 直行
1
1株式会社LSIメディエンス薬理研究部
pp.6-10
発行日 2015年8月10日
Published Date 2015/8/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0078.03.02_0006-0010
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「はじめに」長期にわたる大量飲酒は身体諸臓器に重篤な悪影響を与える。前回は神経系に対する影響を中心にアルコール摂取の身体的影響について述べた。しかし、飲酒の影響は身体ばかりでなく心理・社会的な側面にも及ぶ。今回はそのことについて考えてみたい。図1は世界各国のアルコール消費状況をWHOがまとめたものである。この図をみると日本は中位に位置している。しかし、それでわが国の飲酒問題が深刻でないというわけではない。日本人にはアルデヒド脱炭素酵素(AHD2)の活性が低い人や、心理社会的に問題となる酩酊者が多いことが考えられる。わが国は欧米に比べて、酩酊に寛容な文化を持ってきたようにも思える。われわれは問題飲酒の影響をしっかり認識する必要があるだろう。
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