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早産児晩期循環不全 早産児晩期循環不全の概念と病態生理
河井 昌彦
1
1京都大学医学部附属病院小児科(新生児集中治療部)病院教授
pp.22-25
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.34449/J0055.08.02_0022-0025
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「早産児晩期循環不全の概念」早産児晩期循環不全は,急性期離脱後循環不全とも称される病態で,2000年以降本邦において報告が急速に増えた早産児の合併症である。明確な定義は存在しないが,出生後の循環動態が不安定な時期(早期新生児期)を過ぎ,全身状態が安定した時期を経た後に,突然,低血圧・低ナトリウム血症・浮腫・乏尿(あるいは尿量低下)といった異常を呈する病態という理解が一般的である。低血糖症・高カリウム血症を呈するという報告もあるが,呈さないという報告もあり,これらの所見は必須とはされていない。ただし,脱水・敗血症・壊死性腸炎・大量失血・症候性動脈管開存症など,循環動態の急変を説明しうる直接的な病因がある場合は,通常,早産児晩期循環不全とは呼ばず,これらの病態を除外することが前提となる。治療に関しては,容量負荷・カテコラミン投与に反応せず,グルココルチコイド投与に反応する例が多く,これら治療に対する反応性を含めて,早産児晩期循環不全と考えるべきだという意見もある。「Key words」早産児晩期循環不全,急性期離脱後循環不全,相対的副腎不全,慢性肺疾患
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