特集 DOHaDと周産期医療
DOHaDの基礎研究・疫学研究
早産児のエピジェネティクス
鹿嶋 晃平
1
KASHIMA Kohei
1
1国際医療福祉大学成田病院小児科新生児集中治療部
pp.1476-1480
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001777
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DOHaDと新生児領域における世界のエピジェネティクス研究
英国の疫学者のBarker博士は1980年前後に,低出生体重児が成人後に虚血性心疾患での死亡や2型糖尿病の発症が多いことを報告した。のちにBarker仮説,成人病胎児起源説,子宮内胎児プログラミング説とよばれるものである。2000年代以降,Barker仮説はdevelopmental origins of health and disease(DOHaD)仮説に発展する。DOHaD仮説の基本の概念は“developmental plasticity”である。この“plasticity”という言葉は,日本語では可塑性などと訳されるのだが,「plasticな性質」つまり「型どりの間は変化するが,型どりが終わると固まってしまう性質。可変的ではある」ともいえる。Barker仮説がDOHaD仮説に発展して大きく変ったことの1つは,胎児期が主な対象だったものが生後の新生児期・幼児期も含まれるようになったことである。そしてもう1つは,生活習慣病が主な対象だったものが,アレルギー疾患・骨粗鬆症・精神疾患・炎症性腸疾患・悪性腫瘍など疾患全般に広がったことである。
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