CLINICAL CONFERENCE 症例から学ぶ上部消化器疾患
第30回 ヘリコバクター・ピロリ陰性,非薬剤性胃潰瘍の1例
石井 克憲
1
1川崎医科大学総合医療センター総合内科2
pp.13-16
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.02_0013-0016
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消化性潰瘍の多くは,ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ)感染かNSAIDs(nonsteroidal anti-inflammatory drugs)などの薬剤に起因するが,最近,ピロリ陰性かつ薬剤の既往例のない消化性潰瘍が増加している。Helicobacter pylori-negative and NSAIDs-negative peptic ulcerあるいはidiopathic peptic ulcer(IPU)と呼ばれ1)2),ピロリ感染率の低下とともにその頻度の増加が指摘されている。その頻度は北米では消化性潰瘍のうち20~40%,国内でも10~30%と報告されている1)。IPUの臨床的特徴は出血を主訴とすることが多く,また,再出血や再発の頻度が高く3)4),発生部位は十二指腸に比べわが国では胃に多い5)。IPUに関する報告は多いが,ピロリ陽性潰瘍やNSAIDs潰瘍との臨床像を比較したものが大半で,意外と内視鏡所見を検討したものは少ない。今回,IPUの1例を経験したので,内視鏡像と臨床経過を提示するとともに,若干の考察を加え報告する。
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