1200字通信・4
ヘリコバクター・ピロリ
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.1302
発行日 2009年9月20日
Published Date 2009/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407102708
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科学や学問の進歩を歴史書で読んだり記録で見ることはあっても,自分がそうした進歩そのものを目の当たりにする機会はそうあるものではありません.私たち外科医で言えば,1987年に始められて瞬く間に世界中に広がり,今や標準術式となった腹腔鏡下胆囊摘出術(ラパ胆)などはその1つでしょうが,そうした歴史の1コマに偶然に巡り会い,さらにその技術を習得することができたことには,その幸運に感謝することになりました*.また,消化器内科の分野ではヘリコバクター・ピロリの発見がありますが,その後のこの分野における学問的進歩にはラパ胆と同様に目を見張るものがあり,驚きと感心を持ってその動きに注目しています.
ご存じのように,ピロリ菌は1983年にオーストラリアのWarrenとMarshallが培養に世界ではじめて成功し,その存在が確認されたのですが,その後の研究の進歩に伴い,2009年版のガイドラインではピロリ菌の感染が多くの疾病の原因として位置づけられるまでに至っています.2005年にはこの2人がノーベル生理学・医学賞を受賞していますが,それも宜なるかなと言えるでしょう.
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