特集 新しい時代の小児感染症
各論:原因微生物別
細菌
ヘリコバクター・ピロリ
垣内 俊彦
1
KAKIUCHI Toshihiko
1
1佐賀大学医学部附属病院小児科
pp.618-622
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000860
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はじめに
ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori,ピロリ菌)は,1982年に発見された比較的新しい病原体でありながら,胃がんの原因菌として認知度は高い。わが国における小児では,ピロリ菌の感染率が低下しており1),また,無症状者が多くを占めることから,小児科医の診療機会は限られる。一方,成人領域では,がん罹患数および死亡数とも3位の胃がんの原因であるピロリ菌に関する研究は進んでおり,診断法や治療法に関する進歩はほかの感染症に引けを取らない。小児期の胃がんは大変珍しく,小児科医が胃がん診療に直接かかわることはまずないが,その下火はすでにくすぶり始めていることを小児科医は知っておくべきである。小児期に限らず,その子の成人期にまで責任を果たすべく,小児科医にとってピロリ菌に対する知識は必要不可欠である。
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