DEBATE ON GI THERAPY ディベート
十二指腸腺腫の治療 腺腫でも積極的に治療すべきという立場から/経過観察の立場から
加藤 元彦
1
,
鶴岡 ななえ
2
1慶應義塾大学医学部消化器内科 専任講師
2佐賀大学医学部消化器内科
pp.43-52
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0039.15.02_0043-0052
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十二指腸腺腫・腺がんの取り扱いについては,内視鏡治療のリスクが高いと報告されていることもあり,コンセンサスは得られていない。十二指腸腺腫・腺がんが,どのような自然史をたどるかについては疾患の頻度が低いこともありほとんどわかっていないため,経過観察することにより浸潤がんになった場合,治療の機会を逸したり,病変の増大により初回発見時より治療が困難になるおそれがある。内視鏡診断および生検による病理診断は必ずしも容易ではなく,生検により粘膜下層に強い線維化をきたすことも報告されているために経過観察も容易ではない。患者にとっては発見された病変を切除せずに経過観察することで生じる心理的負担も考慮する必要がある。内視鏡治療については,小型の病変に対するEMRは比較的安全に実施可能であり,ESDは偶発症のリスクは高いものの,その成績は向上してきている。以上のことからわれわれは,十二指腸腺腫に対する完全摘除生検,局所治療として積極的に内視鏡治療を行っている。●本企画は問題点をクローズアップすることを目的としており,テーマに対してあえて一方の見地に立った場合の議論であり,必ずしも論者自身の確定した意見ではありません。
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