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近年,安全性を重視した緑内障手術として,低侵襲かつ短時間で行うことのできる低侵襲緑内障手術(minimally invasive glaucoma surgery:MIGS)が国内外で広く普及してきている1).Trabeculotomy ab internoは代表的なMIGSの一つであり,角膜切開により眼内からアプローチをして隅角鏡直視下に傍シュレム管結合組織とシュレム管内壁を合わせて切開もしくは切除する術式である.短期成績の報告は多数あり,術後の平均眼圧は15〜16mmHg程度,1年生存率は約60〜70%程度とされている(死亡の定義:術後1ヵ月目以降に2回連続した時点で眼圧21mmHgを超えた場合,もしくは追加緑内障手術を要した場合)2)-7).一方で,筆者らが報告した305眼を対象としたトラベクトーム手術後の長期成績において,術後1,2,3,4,5,6年目における生存率は,それぞれ72%,63%,58%,53%,49%,44%であった8).手術直後から眼圧下降の得られない症例においては,術前から集合管以降の遠位流出路に房水流出抵抗が強いことが予想されるが,術後に一度眼圧が下降し,数ヵ月以上が経過した後に眼圧が再上昇する症例においては,切開部位に再閉塞が生じている可能性も考えられる.Trabeculotomy ab internoで使用する器具は多種存在し,それぞれにおいて術後の線維柱帯切開創の形状は異なるが,隅角鏡検査では線維柱帯に白い切開ラインが確認できる場合が多い.一方で,前眼部OCTを用いて確認すると,実際には切開創が埋没しているケースもあり,隅角鏡検査での所見と異なることがある.本稿では,いくつかのケースについて,実際の画像を供覧しながら解説を行う.また,Trabeculotomy ab internoにおいて,どの程度の範囲を切開するべきかについては一定の見解を得ていない.既報や自験例を交えて,切開範囲と眼圧下降効果の関係についても考えていきたい.
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