特集 基礎と臨床から炎症性腸疾患を診る
小児炎症性腸疾患の診断のポイント:monogenic IBDとの鑑別をどのように進めるのか?
宇佐美 雅章
1
1国立成育医療研究センター器官病態系内科部消化器科
キーワード:
小児炎症性腸疾患
,
monogenic IBD
,
超早期発症型IBD
,
Revised Porto Criteria
,
遺伝学的検査
Keyword:
小児炎症性腸疾患
,
monogenic IBD
,
超早期発症型IBD
,
Revised Porto Criteria
,
遺伝学的検査
pp.55-60
発行日 2020年11月20日
Published Date 2020/11/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.38.11_0055-0060
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炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)の患者数は増加傾向にあるが,その傾向は小児期発症の患者数においても同様である。IBDの詳細な発症メカニズムは不明であるが,遺伝的要因と環境的要因の相互作用により発症する多因子疾患と考えられている。一方で,小児期発症のIBD,なかでも6歳未満で発症・診断される超早期発症型IBD(very early onset IBD:VEOIBD)の患者では,潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)やクローン病(Crohn's disease:CD)の診断基準に当てはまらない非典型的な症例が存在し,遺伝的要因の関与が大きいことが指摘されていた。昨今,遺伝学分野の進歩に伴い,単一遺伝子の異常によって発症するmonogenic IBDの存在が明らかになり,これまでに約60の原因遺伝子が報告されている1)-3)。それらのなかには,通常のIBD治療薬への反応が乏しい一方で,造血幹細胞移植により腸炎の治癒が見込める疾患が含まれる。適切に診断されることで疾患特異的な治療法や合併症のマネジメントが可能となるため,monogenic IBDを疑うべき症例には遺伝学的検査の実施を検討すべきである。「KEY WORDS」小児炎症性腸疾患,monogenic IBD,超早期発症型IBD,Revised Porto Criteria,遺伝学的検査
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