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特集 遺伝性消化管疾患の内視鏡診療
【Note】Monogenic IBD―遺伝子異常と病態
Monogenic IBD; Genetic abnormalities and pathogenesis
谷岡 篤
1
,
竹内 一朗
1
,
新井 勝大
1
Atsushi Tanioka
1
,
Ichiro Takeuchi
1
,
Katsuhiro Arai
1
1国立成育医療研究センター消化器科・小児IBDセンター
キーワード:
IBD
,
超早期発症型炎症性腸疾患
,
免疫不全
Keyword:
IBD
,
超早期発症型炎症性腸疾患
,
免疫不全
pp.807-810
発行日 2025年6月25日
Published Date 2025/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002111
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Monogenic IBDとは
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease:IBD)は,難治性の慢性腸炎であり,臨床的特徴から潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis:UC)とCrohn病(Crohn’s disease:CD)に大別される。一般的にIBDは多因子疾患であり,遺伝要因と環境素因に関連する異常な免疫反応や,腸内微生物のディスバイオーシスが病因で発症すると考えられているが,近年の遺伝学の発展に伴い,IBDのなかにはメンデル遺伝形式をとる単一遺伝子異常を病因とする群が存在することが明らかとなってきた。この疾患群は,多因子性のIBDと対照的に“monogenic IBD”と表現されている1)。Monogenic IBDを引き起こす原因遺伝子は腸上皮バリアや免疫応答に関与するものが多く,現在までに75以上が報告されている2)。6歳未満に発症・診断されるvery early-onset IBD(VEO-IBD),なかでも2歳未満で発症するinfantile-onset IBDにmonogenic IBDが多いことが知られているが,一部のmonogenic IBDは18歳以降でも診断される症例が報告されている。

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