特集 多発性骨髄腫の最新情報Ⅰ
骨髄腫病勢評価のための検査:M蛋白,FLC評価からclonal change評価法まで
黒田 純也
1
1京都府立医科大学大学院医学研究科先端医療・ゲノム医学分野血液・腫瘍内科学部門講師
キーワード:
多発性骨髄腫
,
M蛋白
,
free light chain(FLC)
,
clonal change
Keyword:
多発性骨髄腫
,
M蛋白
,
free light chain(FLC)
,
clonal change
pp.41-45
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.12_0041-0045
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「はじめに」多発性骨髄腫(multiple myeloma;MM)は,monoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS)から無症候性(くすぶり)MM(smoldering MM;SMM),症候性MMへと年余を経て進行する難治性造血器悪性腫瘍である。発生母地である形質細胞は,通常,重鎖(H鎖)と軽鎖(L鎖)を独立して細胞内で産生し,これらの複合体として完全型免疫グロブリン(Immunoglobulin;Ig)を血液中に分泌する。また,形質細胞ではL鎖がH鎖よりも40%程度多く産生され,この余剰の遊離L鎖(free light chain;FLC)は低分子量であることから血中に分泌された後,糸球体孔を通過し,速やかに尿中に排出される。このため,正常では血中κFLCは3.3~19.4mg/L,λFLCは5.7~26.5mg/Lと微量である[κ/λ比(rFLC)は0.26~1.65]。MM,ならびに関連疾患ではIg,FLCのモノクローナルな産生と分泌を認めることから(M蛋白),その質的・量的評価は診断,治療効果や病勢の判定の要である。「KEY WORDS」多発性骨髄腫,M蛋白,free light chain(FLC),clonal change
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