特集 多発性骨髄腫の最新情報Ⅰ
骨髄腫の診断と鑑別診断:診断基準の変遷を踏まえて
齋藤 貴之
1
1群馬大学大学院保健学研究科生体情報検査科学講座准教授
キーワード:
多発性骨髄腫
,
診断
,
IMWG
,
くすぶり型骨髄腫
Keyword:
多発性骨髄腫
,
診断
,
IMWG
,
くすぶり型骨髄腫
pp.47-51
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.12_0047-0051
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「はじめに」多発性骨髄腫(multiple myeloma;MM)は形質細胞の増殖性疾患で,高カルシウム血症,腎不全,貧血,骨病変など多彩な症状を伴う。主にM蛋白を認めるのみである意義不明な単クローン性免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance;MGUS)が先行することが知られている。MGUSの診断には形質細胞増殖に由来した臓器障害がないことが必要である。くすぶり型骨髄腫(smoldering multiple myeloma;SMM)は,M蛋白や骨髄内形質細胞の割合を満たすが,骨髄腫関連の臓器障害がないものである。これらの診断は,International Myeloma Working Group(IMWG)の基準によってなされるが1),2014年に改訂された2)。主な改訂点は,進行するリスクが高いSMMを同定し,MMに加えたことである。MMに進行するリスクが高いSMMは,新規薬剤による治療により明らかな生存期間の延長を認め,もはやこの群に治療を待つことは正当化されない。そこで,SMMのなかで治療適応群を同定するバイオマーカーを設定し,治療適応群に移行させる診断基準の変更が必要になった。ここでは,IMWGで改訂された点を中心に診断基準を解説する。「KEY WORDS」多発性骨髄腫,診断,IMWG,くすぶり型骨髄腫
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