特集 多発性骨髄腫の最新情報Ⅰ
骨髄腫の腎障害:成因の多様性,MGRSの意義を含めて
水野 真一
1
1独立行政法人地域医療機能推進機構仙台病院腎臓疾患臨床研究センター
キーワード:
骨髄腫腎
,
MGUS
,
MGRS
,
腎臓内科
,
ボルテゾミブ
Keyword:
骨髄腫腎
,
MGUS
,
MGRS
,
腎臓内科
,
ボルテゾミブ
pp.27-31
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.12_0027-0031
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「Ⅰ.骨髄腫と腎障害の頻度と歴史」骨髄腫の腎障害は,骨髄腫診断事象の1つであり1),commonな合併症である。新規発症の骨髄腫の2~4割に腎障害の合併がみられ,約1割に透析が必要となり,さらに経過中に約半数が腎障害を呈し,生命予後にも強く影響する2)-5)。その腎障害との関係は古くから確立しており,1847年にHenry Bence Jones博士が骨髄腫患者の異常な尿蛋白を報告している6)。これが後にBence Jones protein(BJP)と命名され,κとλの2種類の軽鎖が認識され,遊離軽鎖(free light chain;FLC)は現在,診断と治療のマーカーとして重要とされている。「Ⅱ.骨髄腫の腎障害における成因の多様性」骨髄腫の腎障害で一番頻度が高い腎病理形態はCast nephropathy(Cast-N)であり7),骨髄腫腎とも呼ばれる。遠位尿細管付近において,健常人にも存在するTamm-Horsfall蛋白(THP)と軽鎖が結合してcastを形成・凝集し,さらに尿細管腔を閉塞し,AKI(acute kidney injury)を呈する8)。「KEY WORDS」骨髄腫腎,MGUS,MGRS,腎臓内科,ボルテゾミブ
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