特集 遺伝子治療の現在
網膜疾患・血友病などに対するAAVベクターを用いた遺伝子治療の現状
水上 浩明
1
1自治医科大学分子病態治療研究センター遺伝子治療研究部教授
キーワード:
レーバー先天性黒内障(LCA)
,
コロイデレミア(全脈絡膜萎縮症)
,
網膜下注入
,
中和抗体
Keyword:
レーバー先天性黒内障(LCA)
,
コロイデレミア(全脈絡膜萎縮症)
,
網膜下注入
,
中和抗体
pp.31-35
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.04_0031-0035
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「はじめに」アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus;AAV)ベクターを用いた遺伝子治療が数多く行われるようになり,成功の報告が増えている。なかでも網膜疾患・中枢神経疾患では多くの成功例がある。また,血友病に対する遺伝子治療には長い歴史があり,さまざまな種類のベクターを用いて臨床研究が試みられてきたものの,成功には至っていなかった。2011年になり,ついにAAVベクターを用いた成功例の報告がなされ,臨床への展開は新しい段階を迎えている。本稿では特に網膜疾患と血友病に光を当てて,現状を紹介する。「Ⅰ.網膜疾患に対する遺伝子治療の現状」1.概要網膜疾患における最近の顕著な成功例として,レーバー先天性黒内障(Leber congenital amaurosis;LCA)があげられる。この臨床研究は3つの施設で別々に実施され,いずれも第Ⅰ相試験であるにもかかわらず治療効果が認められている。また,2014年になり,コロイデレミア(全脈絡膜萎縮症)に対する遺伝子治療についても,第Ⅰ/Ⅱ相試験において治療効果が認められている。その他にも数多くの疾患に対して臨床研究が行われている(表)。「KEY WORDS」レーバー先天性黒内障(LCA),コロイデレミア(全脈絡膜萎縮症),網膜下注入,中和抗体
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