特集 血栓・止血の異常を理解する―広くて深い基礎知識
[Chapter 4] 血栓・止血のトピックス
血友病の遺伝子治療
宮川 義隆
1
1埼玉医科大学病院 血液内科
キーワード:
血友病
,
遺伝子治療
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
Keyword:
血友病
,
遺伝子治療
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
pp.824-827
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika132_824
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▪2022年に欧米で血友病に対する遺伝子治療薬が薬事承認された.
▪血液凝固因子FⅧまたはFⅨ遺伝子を含む,肝臓特異性が高いアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを1回点滴静注すると,凝固因子活性が増加する.とくに血友病Bに対する遺伝子治療は投与から2年が経過しても,FⅨ活性が約30%に維持されて,関節内出血はなく,定期補充療法も不要になる.
▪遺伝子治療は新しい科学技術のため,安全性と有効性については長期間の観察と評価が必要である.血友病を治すことを切望する重症型の血友病患者にとっては画期的な治療薬といえ,国内でも企業治験が進められている.
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