特集 遺伝子治療の現在
神経疾患に対するAAVベクターを用いた遺伝子治療
村松 慎一
1
1自治医科大学内科学講座神経内科学部門特命教授/東京大学医科学研究所遺伝子・細胞治療研究センター特任教授
キーワード:
パーキンソン病(PD)
,
アルツハイマー病(AD)
,
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
血液脳関門
Keyword:
パーキンソン病(PD)
,
アルツハイマー病(AD)
,
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
,
血液脳関門
pp.37-39
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.34449/J0001.33.04_0037-0039
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
「はじめに」日本では,すでに65歳以上が3,281万人と人口の25%が高齢者となっており,2030年には33%を超えると予測されている1)。それととともに,パーキンソン病(Parkinson’s disease;PD),アルツハイマー病(Alzheimer’s disease;AD),筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis;ALS)などの壮年期以降に発症する神経変性疾患が増加すると考えられる。これらの神経変性疾患は長期間の介護を要し,患者本人だけでなく家族の負担も計りしれない。そのため,有効な治療法の開発は超高齢社会における喫緊の課題となっている。アデノ随伴ウイルス(adeno-associated virus;AAV)ベクターは,非分裂細胞である神経細胞に効率よく治療用遺伝子を導入し長期間発現させることが可能なため2),神経疾患に対する遺伝子治療用ベクターとしてPDを中心に臨床応用が進んでいる。特に,最近,血管や髄腔に投与することにより脳と脊髄の広範な領域に遺伝子を送達することが可能な改変型AAVベクターが開発され,ADやALSも遺伝子治療の対象となってきた3)(図)。「KEY WORDS」パーキンソン病(PD),アルツハイマー病(AD),筋萎縮性側索硬化症(ALS),血液脳関門
Medical Review Co., Ltd. All rights reserved.