Japanese
English
第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
血栓止血疾患における新規治療
血友病に対する遺伝子治療
Gene therapy for hemophilia
柏倉 裕志
1,2
,
大森 司
1,2
Yuji KASHIWAKURA
1,2
,
Tsukasa OHMORI
1,2
1自治医科大学医学部生化学講座病態生化学部門
2同遺伝子治療研究センター
キーワード:
血友病
,
遺伝子治療
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
,
レンチウイルスベクター
Keyword:
血友病
,
遺伝子治療
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
,
レンチウイルスベクター
pp.695-699
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090695
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
血友病は,血液凝固第Ⅷ因子(血友病A)あるいは第Ⅸ因子(血友病B)の欠乏により,出血を呈する先天性の出血性疾患である.これまでの治療法は血中に欠乏する凝固因子を投与する補充療法が中心であった.半減期延長因子製剤や抗体医薬の開発は,患者の負担を軽減させ,QOL(生活の質)を向上させた.しかし,現状の定期的薬剤投与による治療は生涯継続しなければならない.こうした背景から,1回の投与で持続的に治療因子を産生させる遺伝子治療が大きな期待を集めてきた.近年,遺伝子治療研究の進展により,アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療薬が欧米で承認され,血友病に対する1回投与型の遺伝子治療が現実的選択肢となりつつある.さらに,造血幹細胞(HSC)移植を利用した遺伝子細胞治療の臨床試験での成功例も報告されている.本稿では,遺伝子治療の原理,現在の開発状況,課題について概説する.

Copyright © 2025 Ishiyaku Pub,Inc. All Rights Reserved.