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第5土曜特集 mRNAワクチンやゲノム編集で注目が集まる遺伝子治療
遺伝子治療技術を用いた疾患治療
血友病に対する遺伝子治療の現状
Gene therapy for hemophilia
平本 貴史
1
,
大森 司
1
Takafumi HIRAMOTO
1
,
Tsukasa OHMORI
1
1自治医科大学生化学講座病態生化学部門
キーワード:
血友病
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
,
ゲノム編集技術
Keyword:
血友病
,
アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
,
ゲノム編集技術
pp.402-408
発行日 2023年4月29日
Published Date 2023/4/29
DOI https://doi.org/10.32118/ayu28505402
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血友病は血液凝固第Ⅷ因子,または第Ⅸ因子の遺伝子異常による出血性疾患である.標準治療である凝固因子濃縮製剤による止血管理と比較して,遺伝子治療は長期の治療効果が期待できるので,次世代型治療法として注目されている.血友病に対する遺伝子治療にはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターが最も利用されている.遺伝子治療用ベクターは,搭載する治療用血液凝固因子遺伝子のコドン最適化や,機能獲得型変異の挿入など治療効果を高める工夫がなされている.血友病に対するAAVベクターを用いた複数の遺伝子治療が進行中であり,長期に凝固因子活性が持続する有望な成績が報告されている.良好な治験結果を受け,2022年には一部の製剤が欧米で承認された.一方,AAVベクターは免疫原性や宿主細胞ゲノムへのインテグレーション,血友病Aでの治療効果減弱など,解決すべき課題も存在する.また,遺伝性疾患の根治治療を目指したゲノム編集技術の研究開発も進んでいる.すでに遺伝性疾患患者を対象とした治験において治療効果が確認されており,ゲノム編集技術は血友病に対しても近未来の根治治療法として期待できる.
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