特集 図表・チャートでパッと理解! ここまでわかった産婦人科の病態生理
第4章 女性医学
14.骨盤臓器脱(POP)
古山 将康
1
,
井上 裕太
1
,
田村 一富
1
1石切生喜病院婦人科
pp.407-412
発行日 2023年3月25日
Published Date 2023/3/25
DOI https://doi.org/10.34433/og.0000000202
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骨盤臓器脱(POP)は膀胱,子宮,小腸,直腸が腟から脱出するヘルニアである.POPは排尿・排便機能,性機能を損ない女性のQOLを低下させる.進行度は国際的POP-Q分類を用いStage I,IIで症状が軽度の場合は保存的療法を,Stage III以上で保存的治療が困難な場合は手術療法を選択する.高齢者が多く,内科合併症を考慮して手術術式,麻酔法を決定する.保存的療法は骨盤底筋体操と腟内に挿入するリングペッサリーを用い75%の症例に対応できる.薬物療法としては漢方薬,排尿障害治療薬などがあるが,効果は限定的である.手術療法は上部腟管に対して腟式子宮全摘術に上部腟管支持の補強術式,腹式(腹腔鏡下)仙骨腟固定術を施行する.子宮頸部を切断し挙上するManchester手術も有効である.膀胱瘤の治療には前腟壁形成術や傍腟壁形成術が施行される.高齢者で性機能を考慮しなければ腟閉鎖術を選択する.ポリプロピレンメッシュによる腟式前腟壁形成術も施行されてきたが,人工物の脱出,感染などの合併症のため,重症の症例に限定的に使用する.
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